「有識者検討会」が「同和地区情報」を晒す行為は「違法性あり」と判断!
「ネット上の誹謗中傷等の法的問題に関する有識者検討会」とりまとめ(2022年5月)
2021年4月、「インターネット上の誹謗中傷をめぐる法的問題に関する有識者検討会」(公益社団法人・商事法務研究会、法務省・総務省・最高裁・憲法学者が委員)が設置され、ネット上の誹謗中傷やヘイトスピーチ、「同和地区の識別情報の摘示」などに対する削除の判断基準や法的問題についての検討がおこなわれ、2022年5月に「取りまとめ」が公表された。
「取りまとめ」では「インターネット上の特定の地域を同和地区であると指摘する情報は、通常、プライバシー侵害を理由とする差止めにより削除することができる」として、プライバシー等の人格権を侵害するとの違法性を認めた判断を示した。
また、プロバイダに対しては「特定の地域を同和地区であると指摘する情報について削除依頼等を受けた場合には、差別を助長・誘発する目的があるかどうかにかかわらず、約款等に基づき、削除を含む積極的な対応を採ることが期待される」とプロバイダ事業者による自主的削除を求めた。
今後、各プロバイダの約款の禁止規定に同和地区の「識別情報の摘示」を明確に位置づけさせ、それらの履行状況をチェックする取り組みが求められている。
このような動きを踏まえ、goo blogは利用規約の禁止規定(第11条)に「同和地区の識別情報の摘示」を明確に位置付けてた対応をとっている。
しかし、一番問題が放置されているYouTubeやtwitterはいまだに禁止規定には反映されていない状況が続いている(2022.10/28現在)。
プロバイダの約款・利用規約に明確に位置付け、SNS事業者が自主的に削除をしてくことが求めれている。

「部落探訪」動画の削除を求め国会で質問!

原告の名前や住所、部落が晒される裁判闘争

原告になることで、新たに差別被害が生まれる
【何度読み返しても歯がゆいが、何度書いても同じような内容になるだろう。福岡県在住の原告の女性(63)は、自分の陳述書にそんな感情を抱いた。
「陳述書は宮部氏に渡ります」。2018年8月、打ち合わせで飛び出した弁護団の説明に、女性は耳を疑った。「それじゃ書けない」。思わず声が出た。】【「書ける範囲で書いてください」と弁護士に言われ、女性は1カ月間、悩み抜いた。暮らしの中で感じる部落差別を書きたいが、具体的になるほど公開された場合のリスクは大きい。法廷自体が、宮部氏に被差別部落に関する新たな情報を与える場になりかねない。完成させた陳述書は2700字ほど。≪全国的に多くの差別事件が起こっています≫≪差別は受けた人の心に大きな打撃を与えます≫。記述の大半は抽象的になった。】【中国地方の被差別部落に住む男性(81)は、原告になることを諦めた。50代の息子が2人、20代の孫が5人いる。正面切って部落問題を話したことはない。息子たちは離れた土地に暮らし、自分と違い部落差別をなくすことを目指す運動に関わりはない。被差別部落出身という自覚があるのかすら分からない。】【宮部氏の行為は許せない。泣き寝入りしたくもないが、自分の情報がネット上に拡散され、息子や孫が「被差別部落の人間か」と言われることを想像すると、踏み切れなかった。原告に名を連ね、何度も東京に足を運ぶ後輩の姿に、やるせなさを覚える。「本当なら自分も進んで原告にならんといかんのに…」】
Googleマップにも被差別部落の一覧が晒される


西日本新聞の部落問題の連載「衝撃編」第15話(2022.2/9~)では、鳥取ループのこれまでの差別行為と部落出身者たち思いが掲載されてる。
ネットを悪用した部落差別の現実とGoogleをはじめとするプラットフォーマの無法地帯化について考えたい。
(1)グーグルマップでマッピング
「鳥取ループ」こと宮部龍彦は2005年11月に「同和問題のタブーをおちょくる」として「鳥取ループ」というブログを立ち上げた。その後、行政に対して同和地区の所在地情報を開示請求し、得たい情報が非開示となると裁判を起こし、同時にネット上に公開を繰り返してきた。
最初は2006年に鳥取市内の同和地区情報の開示請求をおこない、行政がそれを拒むと訴訟を起こす。
2009年にはグーグルマップ(MY MAP)を悪用して「鳥取県内の同和地区(被差別部落)」という地図を作成しネット公開した。さらに、このグーグルマップには「大阪市内の同和地区」「滋賀の部落(同和地区)一覧」「Buraku in Shiga(滋賀の部落一覧英語版ページ)」「滋賀県連〇〇支部(計11支部)」など合計15の地図が掲載されていた。
2008年、滋賀県に対しても同和地区を特定しうる施設情報の開示請求を行い、滋賀県が「情報公開条例」にもとづき一部を非公開とする決定をすると、それを不服として大津地裁に提訴した。
滋賀県との裁判で最高裁判決では同和地区情報の開示は「地区の居住者や出身者等に対する差別意識を増幅して種々の社会的な場面や事柄における差別行為を助長する恐れがあると」(2015年)と、滋賀県が勝訴。
滋賀県との裁判中に、部落解放同盟滋賀県連合会の事務所から同盟員名簿がネット流出する事件が起きた。流出した支部の同盟員名簿は、住所・氏名・電話番号・生年月日などの個人情報が書かれていた。
鳥取ループ・宮部龍彦は流出したデータを入手し、800人以上の同盟員の個人情報の一覧をネットに公開した。さらに同盟員の自宅を一軒づつGoogleマップにマッピングし、ネット上に晒し者にした。
【鳥取ループ・宮部龍彦のコメント(「Google」マイマップ】
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「この近くに住むと、就職や結婚を断られたりする厳しい現実があるそうです。この付近の出身が分かると商売での取引も敬遠されるとのことです。そんなことがあるわけながないので、皮肉として作った地図です。」(「鳥取県内の同和地区(被差別部落)」) 「このマップは、実際に部落差別が起こるかどうかを検証するために作成したものであり、最低最悪の形で掲載した。このマップで差別をした人、差別を受けた人は連絡して下さい」(「滋賀県の部落(同和地区)一覧」) 「同和地区を役場に問い合わせた一般市民が部落解放同盟と滋賀県、愛荘町から糾弾された事件があったので、役場に問い合わせなくても分かるように掲載しました」(「滋賀県の部落(同和地区)一覧」) |
(2)各地の同和地区を次々とネットに晒す
2010年には大阪の同和地区一覧をネットに公開し、法務局から削除要請を受けたことに、不服として訴訟。その後も「滋賀の部落」をネット上に公開。以降、順次、全国各地の同和地区や隣保館マップ等を公開。同時に『同和と在日』という雑誌を発刊していく。
2011年、示現舎という出版社を立ち上げ、『部落ってどこ? 部落民ってだれ?』を出版。
2012年頃から、同和地区一覧に対する削除要請が多くなったために、今度は、プロバイダ責任制限法が適用されない海外サーバーでサイトを開設。
2012年11月、「全国部落解放協議会」(goo版)を開設。鳥取ループ・宮部龍彦が開設するサイトであると言明し、頻繁に地区名を露出させていく。そこでは、自分たちは、部落差別をなくす運動団体だと名乗り、「自覚のないものは部落地名総鑑を見て自覚し、立ち上がれ」と、全国の同和地区一覧リストをネット上に公開した。
部落差別を助長するとの通報を受けプロバイダー(goo・日本)による削除が行われたが、米国のプロバイダに(FC2版)に切り替えて、引き続き公開し続けた。
その間、鳥取県、鳥取市、滋賀県、大阪法務局など行政相手に5回にわたり裁判を行い、すべて「差別の助長になる」と指摘されている。それにも関わらず判決を無視し続け、全国の部落と部落出身者を暴き、ネット上に晒し続けてきた。
丹波篠山市長が部落差別動画の削除仮処分の申し立て!YouTube、ライブドアブログ、ニコニコ動画が削除!
◆部落を撮影した差別的な動画がアップ
2020年9月、YouTube(Google)とライブドアブログ(LINE)に兵庫県丹波篠山市の被差別部落が撮影された動画がアップされていました。
地区名や地区住民の名前、同地区への道程なども撮影され動画で晒されていました。
動画では同地域が被差別部落であると摘示され、部落へのマイナスイメージ、偏見を助長する編集が行われていました(鳥取ループ・示現舎とは別の人物)。
◆YouTubeとライブドアブログに削除仮処分の申し立て
市のモニタリング(差別投稿のネットパトロール)と地元住民からの通報により、差別動画の事実を知った丹波篠山市は市長と自治会長の連名で同年10月、YouTubeとライブドアブログに対して動画削除の仮処分申立を行いました。
当初、YouTubeもLINEも「動画削除の仮処分申立」の却下を求める答弁書を裁判所に提出し争う姿勢でしたが両社とも2021年1月、動画を自主的に削除したために市と自治会は「仮処分申立」を取り下げました。
◆ニコニコ動画には「削除仮処分命令」が出され削除
一方、2020年11月、ニコニコ動画(ドワンゴ)にも同様の動画がアップされました。丹波篠山市と自治会はニコニコ動画に対しても同年12月、動画削除の仮処分申立てを裁判所に行いました。
ニコニコ動画は「任意では削除しない」と争う姿勢を示しており、2021年2月に裁判所の仮処分命令の決定を受けて動画を削除しました。
係争中、別途、3社に対して丹波篠山市長名で、差別動画を放置している企業の社会的責任について問う内容の質問状を送付していました。
◆市長の英断、毅然とした対応
今回、初めて行政が部落差別の動画投稿の削除仮処分の裁判を行いました。市長の「部落差別は許さない」という強い意志のもと、市と自治会が原告となり、結果的に3社から動画を削除させたことの意味は大きいです。
ニコニコ動画に対しては、発信者情報の開示、市の原告適格について争うことで裁判が長引くことが予想されたため早期対応を優先し、最終的に市が原告を降り、発信者情報の開示手続きは行わないという判断を行いました。
5月31日、丹波篠山市長は記者会見を開き「部落差別をなくすのは市の責務で、長年取り組んできた」「表現の自由があろうと、許されるものではない」と怒りのコメントを発表しました。
市の人権担当課は「差別動画を見る側にも問題がある」として人権啓発の重要性を強調しました。
顧問弁護士は「今後、別の動画サイトへ再び投稿するなどの動きがあれば、投稿者の特定も検討する」とコメントしています。
成果
①行政が「同和地区の識別情報の摘示」「個人の特定」などの差別動画に対して、裁判(削除仮処分)を起こし、結果的に3社とも削除させることが出来たこと。
②地元自治会が「同和地区の識別情報の摘示」の原告になることが出来、削除させることが出来たこと。
③行政のトップ(市長名)として、同和地区の市民の人権侵害がネット上で行われていることに対いて、SNS事業者に対して社会的責任を問う質問状を送付していたこと。
今後、各自治体や自治会などでも裁判を使った削除要請を行うという方法も実施して欲しい。
課題
①行政・地元自治会からの任意の削除要請では、SNS事業者は各社とも差別動画を削除しなかったこと。
②仮処分申立てがあってもSNS事業者は当初、削除せず「争う」姿勢を示していたこと。
③「プロバイダ契約約款モデル条項」の差別禁止規定(「同和地区の識別情報の摘示」禁止、2017.3)や法務省依命通知(削除対象、2018.12)が出されているにも関わらずプロバイダは、裁判所の仮処分命令が出ないと削除しない現実があらためて浮き彫りとなりました。
「プロ責法」改正は部落差別解消にどう影響するの?
「プロバイダ責任制限法」改正って?
2021年4月21日、「プロバイダ責任制限法」(「プロ責法」)が改正され、匿名の発信者が特定されやすくなりました。今後、ネット上で深刻化する誹謗中傷、差別投稿の民事訴訟・刑事告発が増えることが予想さます。
すでに警察庁は「第4次犯罪被害者等基本計画」に初めて「ネット中傷」対策を記載し、本年4月からネット誹謗中傷等の相談体制の充実に取り組み始めています。
今回は「プロ責法」改正のポイント、部落差別解消に向けた今後の課題について考えたいと思います。
投稿者特定の裁判が1回に!(改正前は2回)
今回の法改正で1回の裁判で発信者が特定できるようになりました。これまでは裁判➀「IPアドレス」開示→裁判②「契約者情報」開示という2回の裁判をおこなっていましたが、今後は①「IPアドレス等」開示は裁判所の判断(非訴)で可能となりました。裁判所が「権利侵害」の可能性が高いと判断すれば、被害者はIPアドレス等(投稿日時)を教えてもらえます。そして次に接続プロバイダに契約者情報(名前や住所など)を教えてもらい匿名の発信者(投稿者)を見つけ出します。
ネット被害者の負担が大きすぎ!(被害者救済の課題)
ネット中傷の裁判(開示請求・削除仮処分⇒本訴・賠償請求)は最低でも「50~100万円」は必要と言われています。勝訴しても弁護士費用などを考えると金銭的メリットはほぼありません(弁護士費用等=慰謝料)。刑事告訴しても「侮辱罪」は科料1万円以下。木村花さんの中傷投稿者は侮辱罪で、二人(大阪府、福井県)とも科料9000円でした。日本ではネット人権侵害の被害者が圧倒的に不利な状況です。
➀被害者の裁判費用の支援
国や地方自治体等で裁判費用支援が必要(人権侵害救済機関・制度の構築)
例)長崎県はコロナ差別のネット中傷などの裁判費用を一部負担しています。
・弁護士料5万円(相談)、開示請求に関わる訴訟費用の半額負担(上限30万円)
➁部落差別解消の視点は、抜け落ちている。
今回は発信者情報の開示(裁判簡素化)が中心の改正でした。しかし、鳥取ループやヘイターなどの確信犯は名前や住所を公表して活動しています。それらの悪質な確信犯に対しては、今回の法改正では意味がありません。
【部落差別解消に「プロ責法」改正をどう活かせる?】
①「侵害情報」(第3条)に「同和地区の識別情報の摘示」を該当させる。
3、「部落差別解消推進法」を強化改正が必要!
「部落差別解消推進法」には「差別禁止」規定がありません。「推進法」を強化改正し、「差別禁止」規定を盛り込む必要があります。その際にポイントが「行為規制」という視点です。解放運動の活動家など個人に対する誹謗中傷などはどこまでが「批判」なのか、プロバイダには判断が難しいところがあります。
しかし、差別身元調査や土地差別調査などの「行為」は現実社会では部落差別であるとして、行政や企業なども「禁止」ということで取り組みを進めています。
➀結婚や就職の差別身元調査
➁土地差別調査(不動産取引において同和地区の物件か調べる)
③同和地区の識別情報の摘示(暴露)
すでに、和歌山県の「部落差別解消推進条例」(2020年12月改正)は上記のような形で「行為規制」の項目を入れました。プロバイダに対しても、条例で示した部落差別(行為)を認識したら「削除」(拡散・送信防止)義務を入れています。今後、鳥取ループ裁判の完全勝利、「部落差別解消推進法」の強化改正、包括的差別禁止法の制定、人権侵害救済機関の設置に向けた取り組みにむけて、一つひとつ立法事実を積み上げていきましょう。
衆議院法務委員会で部落差別の実態について質問!

2、法務省が把握する部落差別の実態~法務省「部落差別」実態調査から~
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「法務省の人権擁護機関が把握する差別事例の調査」結果から明らかになった課題
1、部落差別を受けた被害者は法務局に相談にいっていない。
①法務省の人権相談件数は「氷山の一角」であり、件数ゼロ=「差別なし」ではありません。法務省へ部落差別を受けた被害者が相談に行くのは1%前後(各自治体の人権意識調査結果)で氷山の一角です。相談件数の少なさが、実態を反映している訳ではありません。
②法務省は市民・地域住民とのつながりなどはほとんどなく、部落出身者も法務省との信頼関係や心理的・物理的距離が遠いです。そのため、部落差別を受けても法務省などには相談に行きません。また、被害者が法務省に相談しても解決の見通しがたたず、相談機関を知らないなどの課題があり、現行の「人権相談」の在り方自体が問われています。
③部落差別の正確な現状認識をするためにも、相談体制の充実が必要。地方自治体や隣保館、当事者団体などとの連携が必要です。
2、結婚差別や特定個人への差別表現
①結婚・交際における部落差別の現実(毎年40~50件の相談)
毎年40~50件の交際・結婚差別の人権相談があり、人権侵犯事件としても10~20件の対応がおこなわれています。交際(結婚)相手の親族や家族が加害者となっているケースが多く、実効性のある対応が求められています。
②特定個人に対する誹謗中傷が多い
部落出身者などへの差別発言など特定個人への誹謗中傷が一番多く18%(2017年)、被害者が受ける傷は深刻です。人権侵害の被害者救済のために、政府から独立した実効性のある第3者機関の創設が必要です。
3、ネット上の部落差別(識別情報の摘示)への対応強化
①実社会における部落差別事件は減少傾向で、逆にネット上の部落差別が急増。
②ネット上の部落差別は「識別情報の摘示」が8割以上。
・インターネット上の部落差別は「識別情報(地区名)の摘示」が最も多く、現在も鳥取ループ・示現舎らの「識別情報の摘示」行為をとめることが出来ておらず、被害が拡大しています。当該「鳥取ループ・示現舎」らの行為を禁止する法整備やプロバイダ等の取り組みが急務です。
③法務省の要請で7~8割が削除されている。
地方自治体のモニタリングの導入によって、これまで放置されてきた「識別情報の摘示」が捕捉されはじめています。法務省のプロバイダ等への「要請」の「削除確認率」は高いため、地方自治体とのモニタリング団体等との連携により、迅速で実効性のある削除要請の取り組みを強化する必要があります。
すでに、法務省は地方法務局に対してネット上での「識別情報の摘示」については原則削除との依命通達を出しており、「表現の自由」ではなく人権侵犯事件としての処理するように徹底した取り組みを進める必要があります。
【参考情報①】第2章 法務省の差別事例 調査結果(メモ)
(1)法務省の部落差別等の人権相談の特徴
・年間約400件の相談件数(地方自治体、年間計2000~2400件)
・結婚・交際差別が年間40~50件
・実社会の相談が90%以上。→ネット上の差別の相談体制が不十分
・ネット上は「識別情報の摘示」が一番多い。
(2)法務省の部落差別等の人権侵犯事件の特徴
・年間約100件、人権侵犯事件として処理
・一番多いのは「識別情報の摘示」(43.7%)、次に個人の誹謗中傷(27.2%)2017年
・2013年は実社会90.0%(ネット上が10.0%)だが、2017年は実社会46.6%、ネット53.4%であり、半数以上がネット上になった。
・実社会は特定個人の誹謗中傷が増加している(27(2013年).8%→41(2017年).7%)
・結婚・交際差別も15%前後で推移している。
・被害者と相手方は「当人及び交際(結婚)相手の親族・家族」が最も多い20~30%
・ネット上の部落差別は「識別情報の摘示」が8割以上、全体の件数増加に直結
・モニタリング導入で、地方公共団体が認知する件数が増加した可能性が大きい。
・「識別情報の摘示」への対応は、プロバイダ等への削除「要請」が6~7割。
・要請後の「削除確認率」は96.6%(28/29件、2015)→74.1%(20/27件、2017年)
(3)法務省の差別事件の「まとめ」
- 人権相談総数、年間22~23万件、部落差別の割合は2%。人権侵犯事件の割合は0.5%前後。→相談体制の充実が課題。
- 被害者は60代以上、相手は50代以上が多い。「若年層は当事者となる事例はさほど多くない」→?若年層が法務局に相談に行ってないだけでは?
- 人権侵犯事件は、ネット上では「識別情報の摘示が大半を占めている」→鳥取ループへの対応、削除対応の徹底を!
- 実社会における差別事例は、結婚(交際)差別、差別落書き、特定個人への誹謗中傷(差別)が多い。→人権侵害の救済機関が必要
1、地方自治体が把握した部落差別の現実 ~法務省「部落差別」実態調査結果から~

法務省が2019年に「部落差別解消推進法」第6条にもとづき「4つの実態調査」を実施し、2020年6月に「報告書」が出されました。
「4つの実態調査」とは、
1、法務省が把握した差別事例(過去5年)
2、地方自治体が把握した差別事例(過去5年)
3、インターネット上の部落差別事例
4、国民意識調査(全国1万人対象)
「地方自治体が把握する差別事件の調査」から見たいと思います。
(1)年間2000件以上、部落差別の相談
①毎年、全国の県市町村の自治体に対して年間2000~2400件の部落差別の相談があることが明らかになりました。
人権侵害の被害者が法務局や市役所等に相談にいくのは1割もいません。この数字は「氷山の一角」であり、差別を受けた被害者が相談できていないいケースが圧倒的に多いことを踏まえておく必要があります。
②相談内容としては「結婚・交際差別」が毎年50~100件、差別表現は年間500~600件あり、厳しい部落差別の現実が明らかとなっています。差別の被害者救済、差別禁止法の整備が急がれます。
(2)結婚差別、差別発言は2倍、ネット差別は3倍に!
結婚差別の相談は毎年50~100件あります。過去5年間(2013~2017年)で比較すると、個人を対象とする「差別表現」は101件から194件へと2倍に増えています。そのうちインターネット上は3倍(13%から43%)に増加しています。
(3)土地差別事件の実態把握を!
①「その他」の相談は年間1400~1500件あり、「同和地区の所在地」の問い合わせなども含まれています。今回の調査では、土地差別については調査項目に入っていませんでした。
②この間、マンション開発業者や住宅販売会社による土地差別調査事件、市民の同和地区問合せ事件などが問題となってきました。
今後、国交省による土地差別、宅地建物取引における部落差別の実態調査の実施に取り組んでい引く必要があります。すでに全国10府県以上で実施されてきた土地差別に関わる実態調査の結果を集約することなどはすぐにできます。
(4)ネット上の部落差別とモニタリング
①インターネット上の部落差別解消にむけて全国で133の自治体がモニタリングを実施していました(2019年2月時点)。
②地方自治体の部落差別等の相談事例の調査では「モニタリングによる認知は『相談等』に該当しない」としており、上記の相談件数(年間2400件)には含まれていません。
③ネット上の部落差別を含めるとさらに差別事例の件数は増加することになります。特に現在の部落差別の主戦場はネット上となっています。ネット上における部落差別の現実は別項目で報告したいと思います。
④今回の調査では「国が公権力によるモニタリングを推奨していると受け止められるような調査内容を及び手法を避けるなど、表現の自由に十分留意したものとすべき」としています。
インターネット上の部落差別解消に取り組む自治体のモニタリング(削除要請)の取り組みを、法務省が否定しかねない記述となっており注意する必要があります。
⑤新型コロナウイルスの感染者や家族等に対するネット上での誹謗中傷や個人情報さらしなどの深刻な差別の現実を踏まえ、全国で20府県以上の自治体がコロナ差別のモニタリングをおこなっています。個人の出自や差別を扇動する投稿、人権侵害の誹謗中傷は表現の自由ではありません。無法地帯化しているネット上の差別に対する取り組みを強化する必要があります。
⑥すでに同和地区の所在地情報をインターネット上に掲載すること(識別情報の摘示)は「表現の自由」ではなく人権侵犯事件として処理(削除対応)するよう各地方法務局に依命通達を出しています。
モニタリングの取り組みを否定するのではなく、法務省が地方自治体と連携しネット上の部落差別の解消に向けた取り組みを強化していく必要があります。
(5)差別事件の加害者に対する改善要求は1割
地方自治体の差別事件への対応は「関係機関の案内・紹介等」が4割前後であり、差別事件の加害者(行為者)への改善要求は1割でした。差別事件の加害者に対する改善要求等の取り組みが今後の課題です。そのためには「和歌山県部落差別解消推進条例」(2020年施行)のように、差別行為を禁止し、行政として説示・改善をもとめる法令を整備する取り組みが求められています。
地方自治体の今後の課題
(1)人権問題の専門相談窓口の設置
「人権問題の専門相談窓口・人権相談対応は半数以上」ですが、専門の職員を配置した常設の窓口は少ないです。専門相談窓口の設置・周知、相談員のスキルアップなどが課題です。
(2)学校での同和教育が重要
「差別表現」はネット上のものが多数を占めていますが、根本的な解決のためには、学校教育における部落問題学習の充実、地域や職場などにおける市民啓発の徹底が必要です。
(3)鳥取ループ・示現舎の「部落探訪」の削除
ネット上の差別事件は「同一のウエッブサイトの重複相談もある」として課題が明確である。鳥取ループ・示現舎の「部落探訪」のような悪質な同一サイトへの対応強化が求めれています。
「同和地区のアウティング」通報のポイント

同和地区の地名を掲載し、動画や写真で撮影しYouTubeやTwitterなどに掲載する悪質な投稿も目立っています。鳥取ループ・示現舎の行為に影響を受けて、同様の行為する人が出はじめています。
現在、全国200以上の都府県の自治体がモニタリングを実施しています。自治体や個人等などがそういった差別投稿を発見した場合に、掲示板(2ちゃん、5ちゃん、爆サイ)、YouTubeやTwitterなどのSNS事業者に通報することで投稿を削除されるケースも増えてきました。
そういった同和地区の所在地情報の削除要請の際に、下記のポイントを押さえて通報すると削除されやすいです。同和地区の暴露(所在地情報の摘示)などに対する、この間の政府や法務局、業界団体などの取り組みをまとめてみました。
1、法務大臣の答弁(2016年3月10 岩城光英法務大臣の答弁)
2016年3月10日、参議院法務委員会で有田芳生議員が、インターネット上において同和地区の所在地が流布され、部落差別が助長・誘発されている状況について、法務省に見解と対策を求めました。
岩城法務大臣は「・・・インターネット上で不当な差別的取扱いを助長・誘発する目的で、特定の地域を同和地区であるとする情報が今なお掲載されていることは、人権擁護上、看過できない問題であり、あってはならないことであると考えている。」として、プロバイダ等への削除要請を強化すると答弁しました。
2、「部落差別解消推進法」施行(2016年12月16日施行)
2016年12月に「部落差別解消推進法」が成立・施行しました。
同法律の第1条の目的には「現在もなお部落差別存在するとともに、情報化の進展にともなって部落差別に関する状況が変化している」として、インターネット上に同和地区の所在地情報の一覧を掲載したり、ブログや動画等で同和地区を晒す差別行為が深刻化していることが大きな立法事実として法律が作られました。
3、総務省が国内のプロバイダ業界団体に要請(2017年1月)
2017年1月、総務省が通信関連業界団体に対して「同和地区の所在地情報の摘示行為は部落差別を助長・誘発する行為」であるとして、対策の要請をおこないました。
同和地区の所在地情報のネット掲載はアウト!~プロバイダー業界団体が禁止規定に追加! - 部落差別は、今 ~TUBAME-JIROのブログ~ (hatenablog.com)
4、違法・有害情報「契約約款モデル条項」の禁止規定に該当する
2017年3月15日、国内のプロバイダ等の通信関連業界4団体の代表メンバーからなる「違法情報等対応連絡会」において「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項の解説」の改訂がおこなわれました。
参照:https://www.telesa.or.jp/consortium/illegal_info/20170315_press(違法情報等対応連絡会HP)
その第1条「禁止事項」の(3)「他者を不当に差別もしくは誹謗中傷・侮辱し、他者への不当な差別を助長し、またはその名誉もしくは信用を毀損する行為」に、
「不当な差別的取扱いを助長・誘発する目的で、特定の地域がいわゆる同和地区であるなどと示す情報をインターネット上に流通させる行為」が追加され、同和地区の所在情報の摘示行為は人権侵害につながるための対策が求めれました。
5、法務省が地方法務局へ「依命通知」(2018年12月)
2018年12月、法務省は各地方法務局・人権擁護機関へ「同和地区の所在地情報」に関する依命通知を出しました。依命通知では「特定の地域が同和地区である、またはあったと指摘する情報を公にすることは、差別の助長・誘発目的かどうかにかかわらず、人権擁護上許容し得ない」とし、「原則として削除要請などの措置の対象」としました。
鳥取ループ・示現舎らが「部落探訪」「部落差別解消推進」などの名目で、同和地区の所在地情報や写真・動画などを掲載することが続いているために、従来の部落差別の削除基準を大きく変更しました。
参照:法務省HP 「依命通達」http://www.moj.go.jp/content/001290357.pdf
法務省が同和地区情報の削除対応を強化! - 部落差別は、今 ~TUBAME-JIROのブログ~ (hatenablog.com)
上記のポイントを押さえて、みんなでどんどん通報していこう!
追伸 通報のテンプレも作成!
ブログをみた方がさっそくYou Tubeに通報してくれまています。このテンプレ(500文字以内)を参考に各自でどんどん通報お願いします。You Tubeは半年以内に3つの動画を規約違反として削除させることができたら、チャンネルごと削除させることができます。
YouTubeの通報フォーム(500文字以内)
「攻撃的な、またはヘイトスピーチを含むコンテンツ」⇨「差別や暴力の助長」⇨次へ⇨詳細を入力⇨報告
次の4つの理由により、本動画の削除をお願いします。
1)2016年12月、インターネット上に同和地区の所在地情報の一覧が掲載され、ブログや動画等で同和地区を晒す差別行為が深刻化しているという立法事実を背景に「部落差別解消推進法」が施行されています。
2)2017年1月、総務省が通信関連業界団体に対して「同和地区の所在地情報の摘示行為は部落差別を助長・誘発する行為」であるとして対策の要請をおこなっています。
3)2017年3月15日、国内のプロバイダ等の通信関連業界4団体の代表メンバーからなる「違法情報等対応連絡会」において「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項の解説」の改訂が行われています。これにより「同和地区の所在情報の摘示行為」は人権侵害につながり、対策が求められています。
4) 2018年12月、法務省は各地方法務局・人権擁護機関へ「同和地区の所在地情報」に関する依命通知を出しており「特定の地域が同和地区である、またはあったと指摘する情報を公にすることは、差別の助長・誘発目的かどうかにかかわらず、人権擁護上許容し得ない」とし「原則として削除要請などの措置の対象」としています。