プロバイダ関係の4大業界団体が、ヘイトスピーチと同和地区の所在地情報の差別的掲載を禁止しました!
今後、この「契約約款モデル」を各サービス会社に実際に導入させる取り組みが必要となります。
課題としては海外のプロバイダは適用されません。でも、まずは一歩前進です。
「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消法」は理念法だけど、やはり法律があることは大きいです。
この間の経過
「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消法」の施行を踏まえて、総務省が今年1月5日、プロバイダ・通信関係4団体に対して、ネット上の差別解消に向けた対応を要請しました。
※関係4団体=電気通信事業者協会、テレコムサービス、日本インターネットプロバイダー協会、日本ケーブルテレビ連盟)
国からの要請を受けて、通信関連4団体で策定している「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」(「契約約款モデル」)の解説部分を3月15日に改訂を実施しました。
具体的には、「契約約款モデル」条項で禁止事項とされている「他者に対する不当な差別を助長」する等の行為に、
①ヘイトスピーチ(本邦外出身者に対する不当な差別的言動)
②同和地区を示す情報(差別助長・誘発目的)
「不当な差別的取扱いを助長・誘発する目的で、特定地域がいわゆる同和地区であることなどを示す情報をインターネット上に流通させる行為」
が含まれることを解説において明確化しました。
「契約約款モデル」で差別禁止の規定
各社がサービス利用者との契約時に交わす際の「契約」モデル(契約約款)を、業界団体が作成し、会員に推奨しています。そこには遺法・有害情報を規制するための「禁止事項」を設けています。
これまで「他者に対する不当な差別を助長する等の行為」が設けられていたのですが、今回、新たに「ヘイトスピーチ」と「同和地区を示す情報(差別助長・誘発目的)」をネット上に流通させる行為が追加されました。
この「契約約款」モデルを参考に、各電気通信事業者が自社の契約書を「モデル」同様に改訂していくことが推奨されたということです。
ただし、法的強制力はないので、各事業者の契約約款を改訂させていく取り組みが必要となります。
「プロバイダ責任制限法」の人権ガイドライン
この4団体は国内の電気事業通信事業者の多くが所属しています。法務省人権擁護局も、この団体らが作成している「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」(プロバイダ責任制限法ガイドライン等協議会)を、ネット人権侵犯事件の削除要請の判断基準としています。
ヘイトスピーチ、差別を助長する同和地区所在地情報のネット掲載は、アウト!という基準ができたことは大きな前進です!
今後は、法務省や地方自治体、市民団体、個人等が、差別投稿等に対して、プロバイダや管理者へ「削除要請」をするときの大きな判断基準になります。
部落差別解消法、ヘイトスピーチ解消法の具体化の施策の一つとして、行政によるモニタリング(ネット上差別の実態把握)を実施し、違反を発見したらこの「契約約款モデル」を削除要請の判断基準、根拠としてネットサービス事業者へ削除要請をやっていけることになります。
以下は、「禁止事項」の解説(改訂版)の一部抜粋です。
さあ、これから、ネット上の差別対策に具体的に進めていきましょう。
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2017年 3月15日改訂
違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項の解説
(禁止事項) 第1条 契約者は、本サービスを利用して、次の行為を行なわないものとします。
(1)当社もしくは他者の著作権、商標権等の知的財産権を侵害する行為、また は侵害するおそれのある行為
(2)他者の財産、プライバシーもしくは肖像権を侵害する行為、または侵害す るおそれのある行為
(3)他者を不当に差別もしくは誹謗中傷・侮辱し、他者への不当な差別を助長し、
またはその名誉もしくは信用を毀損する行為
・具体的には、特定の個人の名誉を損なう内容や侮辱する内容の文章等 をホームページ等に掲載する行為、国籍、出身地等を理由とした他者 に対する不当な差別を助長する等の行為がこれに該当します。
・名誉毀損に当たるかどうかについての詳細は、「プロバイダ責任制限 法名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」を参照してください。
・他者に対する不当な差別を助長する等の行為には、以下が含まれます。
-「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」(※)を含むいわゆる ヘイトスピーチ
- 不当な差別的取扱いを助長・誘発する目的で、特定の地域がいわゆる同和地区であるなどと示す情報をインターネット上に流通さ せる行為
※「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進 に関する法律」において定義されており、このような差別的言動のな い社会の実現が同法の基本理念とされています。
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政府【報 道 発 表】 2017年3月15日
「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項の解説」の改訂について
インターネットの急速な発達及び普及は、利用者である国民に大きな利便性をもたらし、インターネットは国民の社会活動、文化活動、経済活動等のあらゆる活動の基盤となる等、国民生活にとって必要不可欠な存在となっております。
近年、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動がいわゆるヘイトスピーチであるとして社会的関心を集めている中、平成28年6月3日に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が施行されました。また、部落差別問題に関しても、平成28年12月16日に「部落差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。
このような状況をふまえ、通信関連業界4団体の代表メンバーからなる違法情報等対応連絡会において「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項の解説」の改訂を行い、モデル条項の当該条文の解説部分に、いわゆるヘイトスピーチや同和問題に関する解説を加えましたので、本日、公表いたします。
「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項の解説」の主な改訂内容
〇第1条(禁止事項)の(3)の「他者に対する不当な差別を助長する等の行為」には、従来からいわゆるヘイトスピーチや同和問題も含まれておりますが、解説部分に明記することにより、第1条(3)にそうした内容が含まれることを明確化しました。
【資料入手先】
報道資料
違法・有害情報への対応に関する契約約款モデル条項の解説http://www.telesa.or.jp/consortiu...
参考資料:
違法・有害情報への対応に関する契約約款モデル条項(今回、条文の改訂はありません)
【連絡先】
(一社)テレコムサービス協会(違法情報等対応連絡会 事務局) 担当:菅野
TEL:03-5644-7500