部落差別は、今 ~TUBAME-JIROのブログ~

当事者の声、マイノリティの視点、差別の現実を踏まえた情報発信をしています。

部落差別と戸籍の非公開の闘い

tubame-jiro.hatenablog.com

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蓮舫代表が戸籍開

 

民進党蓮舫代表が「国籍問題」で戸籍の一部を7月18日に公開した。部落解放同盟中央本部は14日午後、民進党本部を訪問し、戸籍公開を求める発言が党内から起きていることに対する抗議をおこない、蓮舫代表が戸籍情報を公開することがないように申し入れをおこなってきた。

同様の事が二度と起こさせないためにも、戸籍と身元調査、部落差別との闘いの歴史をあらためて確認しておきたい。

 

◆「壬申戸籍」事件

戸籍は本人と親族などの血脈を証明するもの。そのため、戸籍に書かれた個人情報をもとに身元調査が行われ、結婚差別や就職差別などにおいて戸籍が悪用されてきた歴史がある。差別されたくないために、本籍地を何度も変えた部落民もいる。

部落解放運動は戸籍公開制限との闘いの歴史でもあった。戦前、全国水平社の闘いにより、壬申戸籍に記載された「元穢多」「新平民」などの族称欄が廃止された。

戦後も結婚や就職に際して、戸籍を用いた身元調査が後を絶たず、解放同盟は「戸籍の自由閲覧を制限させる運動」を展開。1968年に壬申戸籍が封印されてからも、戸籍の本籍地や親族情報を元に、身元調査が行われてきた。

◆「部落地名総鑑」事件

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1975年に「部落地名総鑑」事件が発覚。全国の部落の所在地一覧が掲載された本が販売され、企業や探偵者など300社が購入し、戸籍と「部落地名総鑑」を照合し、部落出身者の身元調査をおこなっていた。事件発覚後、法務省が10年以上をかけて現在まで10種類の「部落地名総鑑」が確認され、663冊が回収されている。

部落地名総鑑」事件をきっかけに1976年に戸籍法が改正された。請求事由の明示によって、不正目的が拒否できる「戸籍の閲覧制限」が行われた。さらに、こうした戸籍の閲覧制限が厳しくなるにつれ、次は住民票で「本籍」を調べ、身元調査を行う事件が続発し、1985年住民基本台帳法も改正し、「住民票の公開」制限を行った。

その後、大阪府をはじめ福岡、熊本、徳島、香川などでも身元調査規制条例が制定され結婚や就職に際して探偵などの差別身元調査を規制した。

 

◆就職・採用試験では戸籍提出は禁止!

就職差別撤廃運動では、就職試験のエントリーシートは本籍地や親の職業など本人の能力とは関係のない記載をさせない「全国高校統一応募用紙」が使用されるようなった。1999年には職業安定法が改正され、採用時における戸籍の提出の禁止、面接時において本籍地や親の職業など本人の能力以外の情報収集することが法的に禁止された。

 

◆戸籍法改正 「原則非公開」に!

 1980年代後半から、戸籍・住民票を他人が閲覧・取得できなくなったために、弁護士や行政書士等の有資格者に依頼し、戸籍等を不正取得し、身元調査をおこなう事件が多発した。

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そのため2006年には「探偵業法」制定され、探偵業務において部落出身などの差別身元調査が禁止となった。そして、2008年には戸籍法が改正され、請求時の本人確認の徹底、不正取得を依頼した人も刑罰となった。

戸籍の不正取得防止に向けては、全国の650以上の自治体で登録型「本人通知」制度が導入されている。

このように部落解放運動では身元調査に戸籍が利用されてきたために、一貫して戸籍の公開制限の闘いをおこなってきた。そして、現在、戸籍は「原則非公開」という人権基準を作り上げてきた。

 

◆戸籍公開はマイノリティへの差別を誘発する !

戸籍には『婚外子』『棄児』『アイヌ民族』『沖縄出身』『トランスジェンダー』などの情報もある。『差別につながる恐れのある個人情報は開示しない』というのが現在の到達点。

結婚相談所でも独身確認ためには戸籍でなく、自治体で発行される「独身証明書」を使用するように経産省が2008年にガイドラインを出している。

今回の蓮舫代表の戸籍公開は、日本のプライバシー権、個人情報保護の闘いで積み上げてきた到達点を壊してしまう危険性があり、今後、悪影響することがないように取り組みを強化していく必要がある。

 

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「冷たいレイシズム」 鳥取ループ・示現社

鳥取ループ・示現社のMらの行為は、部落問題をあまり知らない人からすると、一見、「ヘイトなの?」とわかりにくい。

彼は決して、ネット上でも、路上でも「部落民を殺せ!」などとは叫ばない。これまで賤称語を使ったり、露骨に「部落民との結婚はやめろ!」「あいつらは穢れている!」などとストレートな差別言動を発したことはない。

その意味では「彼らの行為はヘイトなの?」と思ってしまう。

しかし、「復刻版 全国部落調査」を出版したら、結婚差別で「一人や二人くらい死ぬ人がいるかと思ったら、そんなことない」と平気で言い放つ。

「同和タブーをおちょくる」として、市役所などに部落の所在地情報等の開示請求を繰り返し、「非開示」となると裁判を起こしてきた。

部落民の名字リスト(1万人以上)や、部落解放運動団体の役員や会員名簿(名前・住所・電話番号、生年月日等)の個人情報をネット上に晒してきた。(「解放同盟関係人物一覧」等は、「自分が作成したものではない。誰かがやった」と主張。しかし、その情報を二次利用し、掲載を許可・掲載し続けてきたのは事実)。

 

何度も法務局から「あなたがやっている事は部落差別を助長・誘発するからやめなさい」と言われ、国会でも法務大臣が、彼らのアウティング行為、「部落地名総鑑」の出版、ネット公開が「人権侵犯」であると指摘され続けてきたが、公然と反発し、やめない。

当事者が「やめてくれ」と訴えても、「いやだ」と笑いながら、その部落や部落出身者の個人情報や地域名、写真をアウティングし続ける。

当事者や主催者が拒絶しても、原告がいる講演会に、平気で土足で何度も侵入してくる。

先日の上智大学でのABDARCでのイベントでは、主催者が事前に拒否していたのに被告本人が会場に侵入し、バレて追い出された。

「追い出されるのは分かっていた。だから、いつもと同じじゃ、おもしろくないから、ジョン・レノンの恰好を真似して、バンダナと黄色いサングラス、そしてマスクで、左翼系を意識して、入った」と冷笑しながら、示現舎のラジオで語っていた。

それを聞いて、私はぞっとした。
当日、彼の侵入により、講演を妨害され、動揺しながら、それでも話し続けた出演者たち。恐怖と精神的苦痛を受けた当事者。

彼のマイノリティを冒涜した行為を目の当たりにし、イベント中に体調を崩し、トイレで吐いた人もいた。

鳥取ループ・示現社は、部落問題解決に取り組む人たち、部落出身者を、あざ笑うかのように、自己の理屈をまき散らし、当事者が嫌がる事を、楽しみながら、繰り返す。

彼はマジョリティ社会に問うている。

「部落問題の情報を、行政や運動団体だけが独占するのは不公平だ。おれが公平にしてやっているんだ」「俺は差別なんてしていない。あくまで、部落に関する情報を公開しただけだ」

「俺が公開した部落の情報で、部落差別がおきても、俺は知らない。それはお前たちの責任だ」と、当事者とマジョリティ社会に問いかけているように聞こえる。

私は思った。
この間、ずっと、もやもやしていた、彼の行為への言葉にならない気持ち。

「冷たいレイシズム

だと。

「部落差別解消推進法」の周知 各地の先駆的な取組

「部落差別解消推進法」(以下「推進法」)が施行されて半年が経とうとしてます。
国からの指示を待つまでもなく、各地の自治体で「推進法」の周知徹底の取り組みが始まっています。いつくかの先駆的な取り組みを紹介します。

 

1、鳥取県(テレビCM)

鳥取県は、今年3月に「推進法」のテレビCMを放送しました。
放送後は、CMをYouTubeにアップしています。

2、大分市(チラシ全戸配布)

 大分市は 今年3月、全22万世帯(人口約50万人)へ「推進法」の啓発チラシを、全戸配布しています。また、市としてポスターも作成・掲示。
http://www.city.oita.oita.jp/…/con…/1481796288836/index.html

啓発チラシは、「推進法」の周知だけでなく、戸籍不正取得事件や土地差別事件などの近年の差別事件、同和問題の意識調査結果なども踏まえ、「寝た子を起こすな」論を否定する内容。学習資料としても、そのまま使用できる内容です。

大分市は毎年1回、人権啓発チラシを全戸配布する取り組みをしており、前年度は「部落差別解消推進法」をテーマにしたチラシを作成したとのことでした。

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 3、大分県教委(教材作成)

 大分県教委は、「推進法」教職員向けの研修資料(PDF・パワポ)を作成し、HPからダウンロードして研修で使用できるようにしています。

http://kyouiku.oita-ed.jp/jinken/2017/04/post-56.html(教職員向けの研修資料)

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また、小中高校での部落問題学習のカリキュラム、具体的的な教材等を作成し、指導案を公開しています。社会科の授業や部落問題学習の教材等を例示しています。

http://kyouiku.oita-ed.jp/jinken/2017/04/post-55.html同和問題の学習系統表)

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4,同和問題解決(部落解放)・人権政策確立要求実行委員会(ポスター)

大阪府内の行政や各種団体などで構成する「同和問題解決(部落解放)・人権政策確立要求実行委員会」はポスターを作成し、実行委員会加盟の団体の施設やJRなどの駅にポスターを掲示しています。

 

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今後、同和問題啓発月間(旬間・週間)、人権週間などを活かした取組も可能です。
例えば、学校での児童・生徒の人権ポスターの募集があります。そこで、部落差別やヘイトスピーチ、障害者差別などのテーマ設定をして、募集することも可能だと思います。

入賞作品がポスターになり、全学校へ配布・掲示されます。また、人権週間などの時期には、ラッピングバスなどもにも掲示されます。

各自治体が、限られた予算の中でも、法施行の周知・徹底を、工夫をしながら進められています。

何より、まず法務省がポスターや啓発チラシを作成する必要があります。すでに法務省が作成した「ヘイトスピーチ許さない」のポスターは公的施設や駅など多くの場所で掲示されています。

部落差別解消推進法が施行され、もう半年がたちます。早急にポスターを作成する事が求めれています。

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「私たちの部落問題」~上智大学で公開講座~

私たちの部落問題のイベントが6月上智大学で開催されます。
東京近郊の方はぜひ!「部落問題の今」について学べます。

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◆ Lecture「初めての部落問題」
             齋藤直子(大阪市立大学特任准教授)
                「ネットと部落差別」
               川口泰司(山口人権啓発センター)

 ◆Talk Event 「私と部落と反差別」
     【ゲスト】  三木幸美(とよなか国際交流協会)
           
上川多実(BURAKU HERITAGE)
             C  (BURAKU HERITAGE)
            李 信恵(ライター)
            ゆーすけ(C.R.A.C)
    【コメンテーター】香山リカ(精神科医)

 【コーディネーター】内田龍史(尚絅学院大学准教授) 

 
「部落差別解消法」施行~ネットと差別扇動

 2016年12月、「部落差別解消法」が施行されました。
背景には、ネット上での部落差別の深刻化があります。
ネット上では全国の被差別部落(五千ヶ所以上)と部落出身者(1万人以上)が「暴かれ」「晒され」ています。 

さらに、ネット上では部落への差別情報が多く、偏見やデマが大量に拡散・蓄積され続けています。差別に関する正しい知識がないため、偏見やデマ情報を鵜呑みにし、無自覚に差別をしている事例を多く見ます。

第1部では、「部落問題って何?」「部落差別は、いま、どうなっているの?」について学びます。

 

多様な部落出身者~「キャッチャー」が大事~

東京にも多様なルーツを持つ、たくさんの部落出身者がいます。当事者は今、何に悩み、何を思い生きているのか。
東京、大阪で育った当事者の声を聞き、受け止めます。

マイノリティが安心して自分の事を語れるためには、それを受け止める「キャッチャー」の存在が重要になります。

第2部では、マイノリティとマジョリティが「つながる」ために、何が大事なのかを考えたいと思います 。

 

「カウンターの存在」~反差別という立場~

ヘイトスピーチ解消法」成立には、差別を許さない「カウンター」の存在が決定的な役割を果たしました。

差別が「放置」される事で、差別への「ハードル」が下り、現実社会での人権基準(感覚)が壊されていきます。

今回は、部落出身者、在日朝鮮人LGBTなどの当事者や「反差別」という立場で活動してきた出演者たちが、

「『わたし』と『部落』と『反差別』」を切り口に、
「差別の現実」と「差別解消」に向けて語ります。

 

 ABDARC(アブダーク)
Anti-Buraku Discrimination Action Resource Center)
全国の被差別部落の地名や関係者の個人情報をインターネット上に公開している鳥取ループ(示現舎)。
彼らにNOを突き付けるために起こされた裁判情報を中心に、 部落問題の基礎知識などを提供するためにABDARC(鳥取ループ裁判支援サイト)は、設立されました。

お問合せ:検索「ABDARC」(問合せフォーム)https://www.abdarc.net/contact/

 
プログラム
①日時:6月25日(日)13:30~16:45
②場所:上智大学(四谷キャンパス) 6-302

③内容:講演&シンポ

④主催:上智大学「立場の心理~マジョリティの特権を考える」 
                  公開授業(出口真紀子)

⑤協力:ABDARC
    HOME - ABDARC~鳥取ループ裁判支援サイト~

⑥プログラム

第1部 13:30 - 15:00 Lecture
「初めての部落問題」  齋藤直子(大阪市立大学特任准教授)
ネットと部落差別」  川口泰司(山口人権啓発センター)

第2部 15:15 - 16:45 Talk Event
「私と部落と反差別」

【出演者】
  三木幸美(とよなか国際交流協会)
  上川多実(BURAKU HERITAGE)
  C    (BURAKU HERITAGE)
  李 信恵(ライター)
  ゆーすけ(C.R.A.C)
 【ゲストコメンテーター】香山リカ(精神科医)

【コーディネーター】内田龍史(尚絅学院大学准教授) 

 

★会場
上智大学 四谷キャンパス 6号館302室
〒102-8554 東京都千代田区紀尾井町7-1

JR中央線東京メトロ丸ノ内線南北線/四ッ谷駅 
麹町口・赤坂口から徒歩5分

 

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同和地区の所在地情報のネット掲載はアウト!~プロバイダー業界団体が禁止規定に追加!

www.telesa.or.jp

プロバイダ関係の4大業界団体が、ヘイトスピーチと同和地区の所在地情報の差別的掲載を禁止しました!

今後、この「契約約款モデル」を各サービス会社に実際に導入させる取り組みが必要となります。

課題としては海外のプロバイダは適用されません。でも、まずは一歩前進です。

ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消法」は理念法だけど、やはり法律があることは大きいです。

この間の経過

ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消法」の施行を踏まえて、総務省が今年1月5日、プロバイダ・通信関係4団体に対して、ネット上の差別解消に向けた対応を要請しました。
※関係4団体=電気通信事業者協会、テレコムサービス、日本インターネットプロバイダー協会、日本ケーブルテレビ連盟

国からの要請を受けて、通信関連4団体で策定している「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」(「契約約款モデル」)の解説部分を3月15日に改訂を実施しました。

具体的には、「契約約款モデル」条項で禁止事項とされている「他者に対する不当な差別を助長」する等の行為に、

ヘイトスピーチ(本邦外出身者に対する不当な差別的言動)

②同和地区を示す情報(差別助長・誘発目的)

「不当な差別的取扱いを助長・誘発する目的で、特定地域がいわゆる同和地区であることなどを示す情報をインターネット上に流通させる行為」

が含まれることを解説において明確化しました。

 「契約約款モデル」で差別禁止の規定

各社がサービス利用者との契約時に交わす際の「契約」モデル(契約約款)を、業界団体が作成し、会員に推奨しています。そこには遺法・有害情報を規制するための「禁止事項」を設けています。 

これまで「他者に対する不当な差別を助長する等の行為」が設けられていたのですが、今回、新たに「ヘイトスピーチ」と「同和地区を示す情報(差別助長・誘発目的)」をネット上に流通させる行為が追加されました。

この「契約約款」モデルを参考に、各電気通信事業者が自社の契約書を「モデル」同様に改訂していくことが推奨されたということです。 

ただし、法的強制力はないので、各事業者の契約約款を改訂させていく取り組みが必要となります。

プロバイダ責任制限法」の人権ガイドライン

この4団体は国内の電気事業通信事業者の多くが所属しています。法務省人権擁護局も、この団体らが作成している「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」(プロバイダ責任制限法ガイドライン等協議会)を、ネット人権侵犯事件の削除要請の判断基準としています。

ヘイトスピーチ、差別を助長する同和地区所在地情報のネット掲載は、アウト!という基準ができたことは大きな前進です!

今後は、法務省地方自治体、市民団体、個人等が、差別投稿等に対して、プロバイダや管理者へ「削除要請」をするときの大きな判断基準になります。

部落差別解消法、ヘイトスピーチ解消法の具体化の施策の一つとして、行政によるモニタリング(ネット上差別の実態把握)を実施し、違反を発見したらこの「契約約款モデル」を削除要請の判断基準、根拠としてネットサービス事業者へ削除要請をやっていけることになります。

以下は、「禁止事項」の解説(改訂版)の一部抜粋です。

さあ、これから、ネット上の差別対策に具体的に進めていきましょう。

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もう一つの教科書無償闘争~絵本『おたまさんのおかいさん』(長谷川義史)より~

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大阪・日之出の教科書無償化闘争

教科書無償闘争と言えば、高知・長浜の闘いが国を動かす決定的な闘いとなった。しかし、実は、その前段として京都・大阪の闘いがあったことは、あまり知られてない。

当時、20代だった部落の青年たちが差別と貧困により、教科書すら買えず、給食代を持って行けない部落の子どもたちが、教員から「給食代を忘れた子」とプラカードを首から下げられ、運動場を走らされていた。

そして、子どもたち自身も教育闘争に立ち上がり、やがては教科書無償化を勝ち取る。

絵本作家として有名な長谷川義史さんは、大阪・日之出の部落の聞き取りを元に『おたまさんのおかいさん』(解放出版社、2002年)を出版し、講談社の絵本賞を受賞した。

その「後書き」に、しっかりと、日之出の教育闘争が書かれている。

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知ってた?小中学校の教科書が無償(タダ)になった理由!

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今日は、全国の小中学校で入学式・始業式。
新学期になると、いつも教科書が無償(タダ)で配られる。

すべての小中学校の教科書の裏に、かかれている言葉がある。

「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう」

これ、知っていましたか?

高校生になると、教科書は自分で購入しなければいけない。

教材等も入れると2~3万円くらいする。

なぜ、小中学校の教科書がタダ(無償)なのか、多くの人が知らない。

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増えている「同和地区」問い合わせ

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(1)増えている行政への「問い合わせ」

都府県や市区町村役場、隣保館などへの同和地区の問い合わせは、年々増えています。

1995年~2015年まで、過去20年間で確認出来ただけでも207件(『あいつぐ差別事件』『解放新聞』等で確認)の差別問い合わせがありました。

1995年~2005年は計46件ですが、2005年~2015年では計160件となっています。この10年間で差別問合せ事件は3倍以上に増えています。

問い合わせ先の多くは、都府県や市区町村役場・教育委員会などの行政です。その他に隣保館、人権啓発センター、解放同盟都府県連、小学校などもあります。

世代としては20代~80代までの各年齢層であり、不動産会社・マンション開発業者・住宅会社などの社員も目立ちます。

(2)直接窓口にくるケースも2割ある

行政等への同和地区問い合わせの8割が電話です。その多くが匿名または自称(〇〇市在住、偽名)で問い合わせをおこなっています。

なかには、直接、行政等の窓口まで来て、堂々と「同和地区はどこか」と問い合わせるケースも2割あります。

結婚相手の身元調査では、親子(母と娘)が役場を訪ね、「結婚する相手が同和地区に在住しているのか知りたくて調査したい。結婚相手の戸籍を請求できるか」(大阪2006)という事件も起きています。

また、市役所に20代の女性が訪問し、「〇〇(名前)は、市内の部落に多い名字か」「調べる人が調べたら、部落の人かどうか特定できるか」(香川2011)など、結婚した相手が同和地区出身かどうか調べにきたケースもあります。

その他、直接窓口にくるケースで多いのが、不動産会社などの土地差別調査などです。不動産会社の社員が市役所を訪問し、住宅地図を広げ、

「部落を地図上で示して欲しい」「表面上は示さないが、競売の情報として必要」(福岡2005)、「この地域に歴史的に部落が関係しているか、あるかないか教えて欲しい」(東京1995)など、堂々と問い合わせている事件もあります。

また、建設業者が市役所に来て、「営業所をS市に設立したい。市内に同和地区はあるか」(兵庫2010)との問い合わせ事件もあります。

 

(3)問い合わせ内容

過去20年間の問い合わせの内容(目的)の上位は下記の順になります。

 1位「同和地区の所在地情報」76件(37%)

 2位「住宅・土地購入」56件(27%)

 3位「結婚(交際)相手の身元調査」38件(18%)

 4位「引越・転居」31件(15%)

 5位「その他」(自分のルーツ等)6件(3%)です。

  

1位,同和地区の所在地情報

問い合わせで一番多いのは、「〇〇市の同和地区はどこか」「〇〇(地名)は同和地区かどうか教えて欲しい」など『同和地区の所在地』に関する問い合わせです。

これらは結婚や就職における身元調査、不動産取引・転居における土地差別調査など、どのようなケースでも利用される内容です。

 【具体例】

①「自分の住んでいる地域に同和地区があるかどうか知りたい」「どこに聞いたら教えてもらえるのか」「自分は解放同盟とは関係ない」(福岡2015)

②「部落地区がわかる地図があるのか。同和地区の分かる地図か、それが分かるものはないか」(京都2013年)

③「〇〇市内に3つの部落があると聞いた。どこにあるのか教えてもらえないか」「どこで聞いたら分かるのか教えて欲しい」(香川2012)

④「〇〇町の△△というところは同和地区か」(滋賀2012)

⑤「自分が住んでいるところが同和地区かどうか知りたい」(奈良2009)

 

2位,不動産購入や引越先の物件

次に多いのが、『家や土地を購入』『引越・転居』の際に、その土地・物件が「同和地区かどうか」という問い合わせです。

不動産取引において同和地区を忌避する市民の差別意識が具現化されたものです。

また、その市民の差別的ニーズに同調し、営業活動を行う不動産業者からの問い合わせも多いです。

 【具体例】

①「この物件は同和地区の物件ですか」不動産業者、(福岡2014)

②「〇〇市に転居を検討しているが、市内に同和地区はあるのか」(京都2013)

③「〇〇市内でマンションを探しているので同和地区を知りたい」(和歌山2012)

④ 「今度、娘が土地を買おうと思っているが、〇〇市に同和地区があったかどうか知りたい。△△川沿いにあったと聞いたことがある」(埼玉2011)

⑤ 「〇〇区内で部落だったところが、ここでわかるか」不動産業者、(東京2011)

 

3位,結婚(交際)相手の身元調査

次に、結婚相手の身元調査に関する問い合わせです。多くは親が子どもの結婚(交際)相手が、同和地区出身かどうかを確かめるために、身元調査をおこなっています。

 【具体例】

① 「息子の結婚相手の住所が、同和地区でないのか」(福岡2015)

② 「今度、娘が結婚する相手が同和地区かどうか教えて欲しい」(高知2013)

③ 「いま付き合っている人がいる。どこが同和地区か教えてくれ」(和歌山2013)

④ 「結婚のことで、〇〇市△△番地は同和地区か」(長野2013)

⑤ 「〇〇市の△△が部落どうか教えて欲しい。娘の交際相手が・・」(兵庫2013)

⑥ 「結婚のことで伺いたい。〇〇に同和地区はあるのか?」(香川2012)

 

(4)巧妙になっている問い合せ

行政などにストレートに同和地区の所在地などを聞いても、教えてくれないので、巧妙な手口で問合せをしてくるケースもあります。 

  1,「解放同盟があるか?」

解放同盟の支部があるかどうかや、支部長の自宅を知りたいと同和地区の所在地を聞きだそうとするケースもあります。

 【具体例】

①「若い頃、同和地区の団体の支部長に大変お世話になった。どうしても会ってお礼を言いたいので支部長の自宅を教えてくれ」と言う。団体の名前や支部長の名前は言わず、支部長の自宅の所在地を聞こうとする(埼玉2009)。

②解放同盟奈良県連の事務所に電話で、「〇〇(地名)には、部落解放同盟支部があるんですか」「〇〇と□□(地名)と、どちらが活動しやすいですか?支部はありますか?」「部落があるか、ないかで答えてくれたらいい」(奈良2009)。

2,「自分も部落出身」「自分のルーツが知りたい」

自分や家族が「部落出身かどうかを知りたい」という聞き方で問い合わせてくる。

【具体例】

①「私の生まれたところが部落かどうか調べて欲しい」(和歌山2014)

②「〇〇は同和地区か?」「身内がそうで・・・」(京都2011)

③「奈良の方でいわゆる部落といわれるところがあるのかどうか教えて欲しい。自分の家系はどうであったのか知りたい」(奈良2009)

④「息子の結婚相手が部落出身かどう知りたい」、差別身元調査であることを指摘すると、「自分も部落の人間だ」と偽り、聞きだそうとする。(山口2007)

  

3,隣保館のある場所

隣保館の有無や所在地を尋ね、同和地区の所在地を聞きだそうとするケースもあります。 

【具体例】

①「〇〇というところに隣保館があるが、同和地区か」(福岡2013)。

② 「〇〇市にある隣保館の場所を全て教えて欲しい。地域の名前だけでも教えて欲しい」理由を聞くと「結婚のため」と答える。(奈良2011)

③「県内の隣保館の一覧リストが欲しい」(山口2011)

④「市内の隣保館の名前を教えて欲しい。」「〇〇市営住宅は同和地区か?」(和歌山2010)

4,公営住宅が「同和地区かどうか」

公営住宅の申込・入居に関して、その住宅が同和地区なのかどうかを聞くケース。

【具体例】

①町営住宅に関して、「そこは同和地区なのか」(和歌山2013)

② 「この入居募集団地一覧で同和地区はどこか?」(和歌山2011) 

③「〇〇地区の住宅は同和対策事業の住宅か?」「結婚に関する調査」「どこへ聞けば教えてもらえるか。興信所か?」(長野2010)

④「市営住宅に申込みたいが、その建物がある場所は同和地区内か」(奈良2010)

 

(5)おわりに

2002年3月末に同和対策事業に関わる特別措置法が終了した。
行政や学校でも「どこが部落か、誰が部落民か」が分かりにくくなった。

だから差別はなくったの?
No!

逆に同和地区問合せ事件が増えた!
部落があるから差別があるんじゃない。
結婚や引越などで部落を忌避する人たちがいるから、被差別部落になっている。

差別の原因は被差別者の存在にあるんじゃない。

同和地区問合せ事件は、そんな部落差別のあり方を考えさせられる事件です。

 

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身元調査(戸籍等の不正取得)と登録型「本人通知」制度

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行政書士司法書士などによる戸籍不正取得事件

弁護士や司法書士行政書士などの8士業の人は、「職務上請求書」を使用するれば、他人の戸籍や住民票を自由に取ることが出来ます。

この間、探偵社や調査会社などが行政書士などに依頼し、他人の戸籍等の個人情報を不正取得する事件が全国で発覚しました。

 

 2011年に発覚した一連のプライム事件。

東京の司法書士行政書士、横浜・群馬の探偵社などにより、全国の市町村から3万件以上の戸籍・住民票が不正取得されていました。

不正取得された個人情報が、結婚の身元調査やストーカーやDVなどの犯罪に利用されていました。

プライム事件の逮捕者は33名。全員有罪判決。探偵、司法書士行政書士等のほかに行政や警察、docomo、NTT、SoftBankの店員など。戸籍や住民票以外に、納税情報や所得情報、携帯番号、車両情報、信用情報(借金)など、あらゆる個人情報が、売買されていました。

 

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鳥取ループの「保全異議申立」は棄却!~出版・ネット掲載はダメ!~

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横浜地裁は3月16日、鳥取ループ・示現舎が「仮処分決定」の取消しを求めた「保全異議申立」を棄却しました!

裁判所があらためて『全国部落調査・復刻版』の「出版禁止」と「サイト掲載禁止」の判断を下しました。

 

【今回の判決のポイント】

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