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部落差別は、今 ~TUBAME-JIROのブログ~

当事者の声、マイノリティの視点、差別の現実を踏まえた情報発信をしています。

鳥取ループの「保全異議申立」は棄却!~出版・ネット掲載はダメ!~

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横浜地裁は3月16日、鳥取ループ・示現舎が「仮処分決定」の取消しを求めた「保全異議申立」を棄却しました!

裁判所があらためて『全国部落調査・復刻版』の「出版禁止」と「サイト掲載禁止」の判断を下しました。

 

【今回の判決のポイント】

 ①現在もなお部落差別は存在する。(長年にわたり同和対策事業が実施されてきたが・・・同対審答申、同和行政、部落差別解消法)

②『全国部落調査・復刻版』は、かつて法務省が回収した
部落地名総鑑」と同種の差別図書であり、出版・ネット公開はダメ。

だから、出版・ネット公開されることにより
「様々な差別を招来し、助長するおそれが高い」ため、
仮処分決定は妥当である。

 

以下は、横浜地裁の決定文の概要になります。
基本的に示現舎・宮部の主張は認められませんでした。
彼らは「保全抗告」をすることが予想されます。

 

【示現舎の主張に対する、裁判所の判断】

①同和地区出身者という法律上の身分は存在しない。

「同和地区と言われる地区の存在については、同和対策審議会においても実態調査が実施され、具体的な統計がとられている」

「債権者(原告)が同和地区出身者であるとの主張は、同和地区と言われる一定の地区の出身であることを意味するものにすぎず、法律上その他の何らかの身分が存在することを意味するものではないから、債務者(宮部)の主張は採用できない」

 

②「復刻版」出版禁止は公権力による検閲で、憲法21条違反だ。

「公共の利益に係らない事項を記載した本件出版予定物」の出版等によって、「公的立場にない個人債権者(原告)らの人格権の侵害が問題とされる」ために、事前差し止めを認めることは検閲でなく、憲法違反でもない。

 

③「全国部落調査は様々な部落研究の書籍で引用されている」
「同和地区の地名が列挙された書籍は行政や債権者(解放同盟)の関係団体から出版されている」のに、なぜ自分たちはダメなのか。

「指摘されている書籍等は、いずれも、同和問題の歴史等にかかる調査・研究資料等であるところ、かつ、引用方の方法も、部落所在地及び部落名を含まない引用にとどめるか」「ごく一部(数件から十数件程度)の引用にとどめている」

しかし、「本件出版予定物は、部落地名総鑑と同様に、同和地区の所在地等を、最新の地名も交えて、網羅的、一覧的に記載したものである」「債務者(宮部)の指摘する書籍等とは、趣旨及び内容のいずれにおいても異なることが明らかである」

➡行政や解放同盟・関係団体の部落関連の書籍について、
同和問題に関わる行政資料であるか、特定の都道府県内の同和地区にかかる調査・研究資料、同和問題に取り組む団体の報告資料等であり」

「一部の同和地区について、当該調査・研究等に必要な限りで、同和地区の地名等を記載したものであって、本件出版予定物とは、趣旨及び内容のいずれにおいても異なる」と、示現舎の主張を否定。

 

④戸籍謄本は、部落差別に利用できるものではない。部落差別が存在しているという客観的な証拠がない。

戸籍等不正取得事件のうち一部については、

「調査対象者が同和地区出身者かどうかを調べることを目的とするものであった」ことは事実。

「現在においても、同和地区出身者らに対する差別行為を容認する意識が一定程度存在することは否定できず、債務者(宮部)の主張は採用できない」

【裁判所の結論】

 よって、
『全国部落調査・復刻版』の出版・ネット公開等は、

個人債権者(解放同盟員)らの人格権に対する侵害行為であり、本件においては、侵害行為が明らかに予想され、これによって個人債権者らが重大な損失を受けるおそれがあり、かつ、その回復を事後に図るのが不可能ないし著しく困難になると認められるから」「出版差し止めを求めることが出来る」との結論を再度下しました。

 

さらに、
『全国部落調査・復刻版』は「部落地名総鑑」と同類の差別図書!
出版禁止はもちろんのこと、ネット公開もアウト!
との認識をあらためて、示しました。

「本件ファイル等(同和地区wiki)と部落地名総鑑は…その趣旨及び内容において同種のものであることが認められる。」

【「現在においても、なお、同和地区出身者らに対する差別行為を容認する意識が一定程度存在するといわざるを得ず、本件ファイル等は、法務省が10年余りをかけて回収と焼却処分に当たった部落地名総鑑と同種のものであることに照らせば、

本件ファイル等がインターネット上で引き続き公開された場合には、部落地名総鑑と同様の利用がされることにより、同和地区出身者の就職の機会均等に影響を及ぼし、さらには様々な差別を招来し、助長するおそれが高く、かつ、一旦差別を招来した場合には、その性質上、これを事後的に回復することは著しく困難であると認められる」

 

おわりに

上記は『全国部落調査・復刻版』出版禁止・ネット公開禁止の仮処分決定についての「保全異議申立」事案になります。鳥取ループ・示現舎は、この決定を不服として「保全抗告」をすることが予想されます。

 

名誉棄損の本訴は、続いています。
次回は、第5回口頭弁論、引き続きよろしくお願いします。

日時:6月26日(月)14:00~、
場所:東京地裁103号法廷(傍聴券抽選13:30頃)