鳥取ループがついに「部落地名総鑑」を出版!~部落差別は、いま③~
①「全国部落調査」復刻版出版事件
2016年1月、鳥取ループ・示現舎の宮部らは都内の大学図書館で『全国部落調査』を発見し、現住所を追加した全国の同和地区一覧リストをネット公開しました。
そして2月5日、『全国部落調査復刻版』を4月1日に出版すると告知し、アマゾンで予約受付を開始しました。
多く人たちが、アマゾン本社に抗議し、アマゾン本社は不適切と判断し、3日後には取り扱いを中止しました。
すると彼らは、今度は書店で発売すると公言。今度はすぐさま各書店に話をして、ほとんどの大手の書店は取り扱わない判断となりました。しかし、彼らは「電子図書もある」として、出版する意向は変わりませんでした。
【鳥取ループの言動】
2月5日「全国部落調査」復刻版の販売予告
「復刻・全国部落調査を4月1日に販売いたします。旅のお供に、図書館での添削に、役立つことでしょう。アマゾンで「全国部落調査」の予約販売を開始しました。熱烈な予約注文をお願いします。日本の出版しに変革をもたらす本です」
2月10日 アマゾンの販売中止に対する居直り
「多少年月がかかっても、全国部落調査の出版は必ず実現しますよ。たとえ印刷所に圧力をかけようと、最近は中国でも韓国でも印刷を外注できるので無駄です。紙に限らず、電子書籍もアプリもあります。全国部落調査は不滅です」
解放同盟が宮部と面会
同年3月8日、西島藤彦部落解放同盟中央書記長が彼と対話を持ち、発刊中止を要請しましたが、宮部は拒否。そのため解放同盟は3月22日、「出版差し止め」の仮処分の申し立てをしました。そして3月28日、裁判所が仮処分決定を出し、『全国部落調査・復刻版』は出版差し止めとなりました。
3月29日、東京法務局長も彼らの行為を「人権侵犯」として本人に「説示」(啓発)をしましたが、宮部は法的な強制力はないと開き直りました。この問題は国会でも取り上げられ、有田芳生参議院議員が法務省を追及しました。
【東京法務局長の説示 2016.3/29】
「(インターネット掲載は)・・・不当な差別的取り扱いをすることを助長し、又は誘発するものと認められ、人権擁護上到底看過することが出来ない。よって、あなたに対して、前記各行為の不当性を強く認識して反省し、直ちに前記各行為を中止した上、今後、同様の行為を行うことのないように説示する」
【有田芳生参議の質問に対する法務大臣の答弁 2016.4/5】
岩城法務大臣「委員からご指摘があった通り、不当な差別的取り扱い、これを助長・誘発する目的で、特定の地域を同和地区であるとする情報がインターネット上に掲載さるなどとしていることは、人権擁護上、看過できない問題でありまして、あってはならないことだと、そのように考えています」
ヤフオクに出品!51000円で落札!
宮部はその翌日3月29日、出版差し止めの訴訟資料や「全国部落調査」のコピーなどの資料をヤフーオークションに出品しました。
アマゾン同様、多くの人たちがヤフオクに「違反通告」をして取引中止を求めました。部落解放同盟中央本部も弁護士を通してYahoo!本社に抗議をしましたが、Yahoo! 本社は「取り扱い中止」にしませんでした。
結果、150件の入札の末、鳥取ループの出品した「部落地名総鑑」等の資料は51,000千円で落札されました。
41年前の『部落地名総鑑』事件以降、身元調査規制・就職差別撤廃に向けて取り組んできたのに「部落地名総鑑」を規制する法律がない、法の不備も痛感しました。
今回「取扱中止」しなかったYahoo!オークションの対応は許せません。その後、この件が国会で取り上げられると、ヤフオクは取引情報自体を「隠ぺい」するかのように削除しました。
その後も、彼らは『全国部落調査・復刻版』の原稿データーを無料公開し、各自で印刷・製本・販売するように教示・扇動しました。
また、彼らは、出版物だけでなく「同和地区wiki」というサイトも運営しており、このサイトも、掲載禁止の仮処分になりました。しかし、「ミラーサイト」「コピーサイト」が作られ、現在も全国の同和地区の所在地情報が公開された状況になっています。
このような状況に対して、部落解放同盟は、同盟員1人につき100万円、原告総数248人、合計2億8千万円の損害賠償請求の民事訴訟を起こしました。
②差別性と問題点
明らかなプライバシー侵害!
本人同意なく部落出身者を「暴く」行為は、明確なプライバシー侵害です。部落差別が現存するなかで、「部落地名総鑑」をネット公開・出版することは、結婚や就職における身元調査、土地差別調査などの部落差別を誘発・助長する行為です。
ネットで身元調査を可能に!
彼らが行った最大の問題点は、ネット上で差別身元調査を可能にしたことです。戸籍の公開制限や本人通知制度の導入、土地差別の宅建業界への取り組みなど、これまでの部落解放運動や同和行政、同和教育運動の成果を破壊し、台無しにしています。
何より、部落差別が現存するなかで、「部落地名総鑑」をネット上に公開することは、部落差別を誘発・助長する行為です。
彼らは、部落解放同盟は誇りを持って部落を名乗っているのだから、それをネットで明らかにするのが差別というのは矛盾していると言います。
また、どこが部落かわかれば、隠す必要がないので差別する人はなくなる、という訳のわからない論理を持ち出しています。
第1回口頭弁論後の記者会見で、宮部は「ネットに公開することが問題であれば、自殺者が1人や2人出ていてもおかしくないのに、誰も出ていないではないか」と平気で言いました。この発言は本当に許せません。
彼らは、今実際に起きている差別事件や実態にはふれず、「部落差別はない。たいしたことない」の一点張り。もしまだ差別があるとすれば、責任は部落解放同盟にあるとして、差別を正当化する論理を主張。同和行政や解放運動を批判してもいいけど、部落差別を正当化していい理由にはなりません。
カミングアウトとアウティングは違う!
当事者のカミングアウトと、他者が「暴く」アウティングは意味がまったく違います。カミングアウトは自身が差別を乗り越えるうえで、相手や状況を判断し主体的にするもので、アウティングは単なる「暴き」です。
同和教育における部落民宣言、立場宣言は、部落の子どもたちが、差別に負けない力をつけ、肯定的なアイデンティティの確立、反差別の仲間づくりを目指しておこなわれてきました。
その前提として、しっかりとした部落問題学習や仲間づくり、地元の当事者との協議・信頼関係の上でおこなってきました。地元や当事者の同意もなく、勝手にアウティングする行為とは、まったく異なります。
また彼らは、過去の出版物にすでに地名が載っていると主張しています。部落史の本や資料、解放新聞などでの地名表記に際しては、基本的に、それぞれの地域の解放運動の状況を考慮し、掲載しています。その前提として、その書籍が「部落問題の解決に資するものかどうか」「どのような文脈や意図」で掲載するかで判断してきました。部落差別が現存するなかで、単に「どこが部落」を特定するだけの書籍は、「部落問題の解決に資する」とは到底、言えないことは当然です。
③ヘイトクライムをやめろ!
鳥取ループ・示現舎に言いたい。
まじで、ほんとに、もうやめて!
差別と貧困のなか、学校にも行けず、それでも、たくましく生きてきた部落のおばあちゃんたちが、ネット上の差別に対して、ふるえている。
孫たちが差別の危険にされされ、晒ものにされている。
「今すぐになんとかしたいけど、ネットすら使えない自分たちはにどうするこもできない」「たのむから、おねがいだから、彼をとめてほしい」と涙を流して、私は手を握られた。
「おばあちゃん、ごめんね。ボクもほんとくやしいよ。なんとかするから」と、そんなことが何度あったことか。
頼むから、やめてくれ!
④「冷たいレイシズム」
鳥取ループ・示現社のMらの行為は、部落問題をあまり知らない人からすると、一見、「ヘイトなの?」とわかりにくい。
彼は決して、ネット上でも、路上でも「部落民を殺せ!」などとは叫ばない。これまで賤称語を使ったり、露骨に「部落民との結婚はやめろ!」「あいつらは穢れている!」などとストレートな差別言動を発したことはない。
その意味では「彼ら行為はヘイトなの?」と思ってしまう。
しかし、「復刻版 全国部落調査」を出版したら、結婚差別で「一人や二人くらい死ぬ人がいるかと思ったら、そんなことない」と平気で言い放つ。
「同和タブーをおちょくる」として、市役所などに部落の所在地情報等の開示請求を繰り返し、「非開示」となると裁判を起こしてきた。
部落民の名字リスト(1万人以上)や、部落解放運動団体の役員や会員名簿(名前・住所・電話番号、生年月日等)の個人情報をネット上に晒してきた。(「解放同盟関係人物一覧」等は、「自分が作成したものではない。誰かがやった」と主張。しかし、その情報を二次利用し、掲載を許可・掲載し続けてきたのは事実)。
何度も法務局から「あなたがやっている事は部落差別を助長・誘発するからやめなさい」と言われ、国会でも法務大臣が、彼らのアウティング行為、「部落地名総鑑」の出版、ネット公開が「人権侵犯」であると指摘され続けてきたが、公然と反発し、やめない。
当事者が「やめてくれ」と訴えても、「いやだ」と笑いながら、その部落や部落出身者の個人情報や地域名、写真をアウティングし続ける。
当事者や主催者が拒絶しても、原告がいる講演会に、平気で土足で何度も侵入してくる。
2017年6月25日の上智大学でのABDARCでのイベントでは、主催者が事前に拒否していたのに被告本人Mが会場に侵入し、バレて追い出された。
「追い出されるのは分かっていた。だから、いつもと同じじゃ、おもしろくないから、ジョン・レノンの恰好を真似して、バンダナと黄色いサングラス、そしてマスクで、左翼系を意識して、入った」と冷笑しながら、示現舎のラジオで語っていた。
それを聞いて、私はぞっとした。
当日、彼の侵入により、講演を妨害され、動揺しながら、それでもた話し続けた出演者たち。
恐怖と精神的苦痛を受けて、動揺した当事者や関係者。彼のマイノリティを冒涜した行為を目の当たりにし、イベント中に体調を崩し、トイレで吐いた人もいた。
鳥取ループ・示現社は、まじめに部落解放に取り組む人たち、部落出身者を、あざ笑うかのように、自己の理屈をまき散らし、当事者が嫌がる事を、楽しみながら、繰り返す。
彼はマジョリティ社会に問うている。
「部落問題の情報を、運動団体や行政だけが独占するのは不公平だ。おれが公平にしてやっているんだ」「俺は差別なんてしていない。あくまで、部落に関する情報を公開しただけだ」
「俺が公開した部落の情報を使って差別するのは、それはお前たちの責任だ」「俺は知らない。その事で部落差別がおきても、それは俺の責任じゃない。おまえの責任だ」と、マジョリティ社会に語りかけているように聞こえる。
私は思った。この間、ずっと、もやもやしていた、彼の行為への言葉にならない気持ち。
「冷たいレイシズム」
だと。
ネット公開される「部落」「部落民」~部落差別は、いま②~
①ネット版「部落地名総鑑」の公開
現在、ネット上では鳥取ループ・示現舎によって「部落地名総鑑」が公開され、「同和地区WIKI」のコピーサイト、類似サイトが無数に拡散され、電子図書化し販売されています。
1936年に政府の外郭団体である中央融和事業協会が作成した『全国部落調査』をもとに、全国5300の被差別部落の名称、戸数、職業等がネット上に公開。「同和地区特定ガイド」や便利ツールなども紹介しています。
◆部落出身者の名字リスト
部落出身者の人名リスト(「同和地区と関連する人名一覧」「人物一覧」)もネット上に公開。そこには全国の市町村別に、その地域に多い部落出身者の名字を1万人以上が公開。さらに、解放同盟や同和会などの部落解放運動団体の役員等の名前・住所・電話番号等、1000人以上の個人情報が本人同意なく、公開されています。
◆同和地区マップ
さらに、「同和地区マップ」としてGoogleマップ・ストリートビューを利用し、全国の同和地区の地図が作成され、マッピングされています。「大阪の同和地区」などは地図上に地区指定の線引が記されています。
◆部落の写真や家・表札、墓、子どもの顔が映っている動画まで
鳥取ループは、実際に全国の同和地区を回り、改良住宅や個人宅の表札・車のナンバー、商店などを写真や動画で撮影し、示現舎のサイトで「部落探訪」とシリーズ化し、公開し続けています。
また、子どもたちや青年の顔が映っている動画までもアップされ、地元の保護者たちが削除要請しても、拒否し、ネット上で公開し続けています。
彼らは、「一度公開された情報は、二次利用しても問題ない」と法のグレーゾーンをねらい、NTTの電話帳の情報を二次利用し、身元調査が安易にできるアプリ(サイト)を作りました。
対象者がNTTと契約していれば、検索をかけると住所などの個人がわかります。その住所を「部落地名総鑑」と照合すると、部落出身者かどうか、分かる仕組みを作り上げています。
②鳥取ループ・示現舎とは?
「鳥取ループ」とはブログ名で、「示現舎」は出版社名です。宮部龍彦と三品純の2名が中心です。宮部は自身で、鳥取市内の同和地区の近隣の出身で育ったとのこと。三品純は法学部出身のライターで、主に解放同盟批判を展開した記事を書いています。
彼らの行動の根底には、部落解放同盟や同和行政に対する強い反発があります。
「行政・司法の取り扱いは平等でなく、むしろ同和に対してだけ異常な扱いをしている」(7/5 記者会見・配布資料)
「なぜ、同和地区の場所を晒すのか?・・・『同和はタブー』だと思い込んでいる人をおちょくるためです」(「鳥取ループ」HP)
と書いています。
また、「『全国部落調査』がインターネットで拡散され、回収不能になることは、被告宮部が望むところである。これが『ふと湧いてでた“いたずら心”』などと思うのは、あまりにも甘い考えである」(8月3日、東京地裁準備書面)として、確信犯として、同和地区の所在地情報を次々とネット上に公開してきました。
③10年前から部落暴き、どんどんエスカレート!
鳥取ループは10年以上前から、同和地区の所在地情報を行政に開示請求を求、非開示となると裁判を起こし、同時にネット公開を繰り返してきました。
鳥取市内の同和地区情報の開示請求をおこない、行政がそれを拒むと訴訟を起こす。「鳥取県の同和地区」というサイトを立ち上げて、GoogleMapsに同和地区をマッピングしていきました。
2008年に滋賀県に対しても同和地区を特定しうる施設情報の開示請求を行い、滋賀県が「情報公開条例」にもとづき一部を非公開とする決定をすると、それを不服として大津地裁に提訴。
2015年の最高裁判決で「地区の居住者や出身者等に対する差別意識を増幅して種々の社会的な場面や事柄における差別行為を助長する恐れがあると」と、滋賀県が勝訴しています。
◆解放同盟員の名簿をネット公開、個人宅までマッピング
滋賀県との裁判中に、部落解放同盟滋賀県連が何者かによってハッキングされ、同盟員名簿が流出するという事件が起きました。
流出した同盟員名簿は、住所・氏名・電話・生年月日などの個人情報です。鳥取ループは流出したデータを入手し、800人以上の同盟員の個人情報をネットに公開しました。
さらに同盟員の自宅を一軒づつGoogleMapsにマッピングし、地図上でピンポイントでわかるようマップを作成・ネット公開。
宮部は「自分の犯行ではない」と警察に対しても主張。しかし、後日、ハッキングした本人と面会したことを明らかにしています。
◆鳥取⇒滋賀⇒大阪⇒全国の同和地区をネット公開
2010年には、大阪の同和地区一覧をネットに公開し、法務局から削除要請を受けたことに、不服として訴訟。その後も「滋賀の部落」をネット上に公開。
以降、順次、全国各地の部落や隣保館マップ等を公開していきます。同時に『同和と在日』という雑誌を発刊していきます。
2011年、示現舎という出版社を立ち上げ、『部落ってどこ? 部落民って誰』を出版。
2012年頃から、同和地区一覧に対する削除要請が多くなり、今度は国内法適応外の海外サーバーでサイトを開設します。
また「全国部落解放協議会」というエセ同和団体を立ち上げ、自分たちは、部落差別をなくす運動団体だと名乗り、「自覚のないものは部落地名総鑑を見て自覚し、立ち上がれ」と、全国の同和地区一覧リストをネット公開しました。
このように、全国の部落と部落出身者を暴き、ネット上に晒ものにしてきた。
ネットで拡散・助長されれる偏見と部落差別~部落差別は、いま①~
◆ネットで拡散・助長される偏見と部落差別
今回の部落差別解消推進法が制定された背景のひとつに、ネット上に部落差別の深刻化があります。
今、ネット上で「部落差別」や「同和問題」などのキーワードで検索すると、差別的情報が圧倒的です。行政や研究所などのサイトは、トップ画面に来ません。部落問題についての正しい認識がない人ほど、差別的情報でも検索上位にあるので「正しい」と判断し、偏見が爆発的に助長されている現実があります。
★ベストアンサー7割の差別的回答
(公財)反差別・人権研究所みえが、3年前に「ヤフー知恵袋」の質問サイトを分析しました。「同和」と検索すると1万件近くの質問があり、上位1000件を分析しました。
その結果、
3分の1が「部落差別って何?」などの
知識を問う質問313件(31%)、
3分の1が「部落の人は怖い」などの
偏見に基づく差別的な質問333件(33%)、
残り3分の1が、
身元調査70件、結婚差別57件、土地差別25件などでした。
なんと、これらの質問・相談に対する
ベストアンサーの約7割が、差別的回答でした。
また、「どこが部落か?」「結婚相手は部落出身か?」などの質問には、鳥取ループらの「部落地名総鑑」が紹介され、結婚相手の身元調査などに利用されています。
学校での同和教育の後退などもあり、若い世代で部落問題について「無知」「無理解」な人たちが増え、ネット上の差別情報を鵜呑みにして、それらの情報を気軽に投稿・拡散し、偏見を助長している現実があります。
匿名性の中で、ネット上での差別と偏見の拡散・攻撃化がどんどんエスカレートし、差別と人権侵害のハードルを下げていきます。そして、ついには、ネット空間からリアル社会を侵食しはじめました。
◆奈良県・水平社博物館前でのヘイトスピーチ(2011年)
2011年、奈良県御所市の水平社博物館前での差別街宣では、在特会元副会長らが、白昼堂々と同和地区の中で「穢れた賤しい連中。出てこいエッタども!」などと、1時間にわたり、ヘイトスピーチを繰り返し、その動画をユーチューブで公開。
その動画はアクセスが集中し、すぐに検索上位に。
学校で子どもたちが「全国水平社」「水平社博物館」などをネット検索すると、これらの動画がトップにあり、動画を見てショックを受けているという、二次被害も学校現場から報告されています。
その後、水平社博物館が名誉棄損の裁判を起こし、慰謝料150万円の判決が下された。
*1:判決では、「被告は、原告が開設する水平社博物館前の道路上において、ハンドマイクを使用して、「穢多」及び「非人」などの文言を含む演説をし、上記演説の状況を自己の動画サイトに投稿し、広く市民が視聴できる状態においている。
そして、上記文言が不当な差別用語であることは公知の事実であり、原告の設立目的及び活動状況、被告の言動の時期及び場所等に鑑みれば、被告の上記言動が原告に対する名誉毀損に当たると認めるのが相当である」とし、
原告に生じた損害の額としては、
「被告の不法行為となる言動はその内容が原告の設立目的及び活動状況等を否定するものであり、しかも、その時期、場所及び方法等が原告に対する名誉毀損の程度を著しくしていることなどの事情に鑑みれば、被告の不法行為によって原告に生じた有形、無形の損害は相当大きなものであるといわざるを得ない」とし慰謝料150万円とした。
「部落差別解消推進法」が成立!(12月9日)
12月9日、参議院本会議で「部落差別解消法」可決され、成立した。マイノリティにとっては、宣伝法であっても、法律があることが、どれだけ勇気づけられるか。
「差別はなんかない」と「ある」のに「ない」ことにされ、「差別されるのはお前たちのせいだ」と言われ正当化されきたから。
そんななかで、明確に「部落差別は存在する」とし、解消に向けて取り組むと国が示したことは、ほんと大きい意味がある。
今回の法案は付帯決議も含めて、どちらにも使えるように、ある意味曖昧なところがたくさんある。だからこそ、これから、私たちが「この法律をどう具体化させるのか」を真剣に考えて、提案していかなければいけない。うかれている場合ではないといけない。
今回の法律の意義として、
①「部落差別は存在する」と、国が明確に認めたこと。
差別が「ある」「ない」の議論に決着をつけた。今後は、共産党の「部落問題は解決した」という主張は明らかに法律に反する主張であることが明確になった。
だから、行政や学校では部落差別は「ある」という前提にたち、その解消に向けて取り組むことが責務とされた。
②「寝た子を起こすな」論を、明確に否定したこと。
「学校などで教えなければ、差別はなくなる」「ことさら部落問題を取り上げた授業や研修をするから差別が残る」といった「寝た子を起こすな」論は、誤りであると、それでは「部落差別はなくらない」と国会答弁で何度も明確に否定した。
ネット社会で無知が新たな差別を生む。だから、正しく部落問題について学ぶ必要があることを示した。
この二点が、大変重要な点。共産党の主張は、もう明確に否定されたということ。恒久法であるため、これらの考えは、今後、完全に間違いであることが確定した。
そして、今後の私たちの課題として、この法律を具体化するための議論と方針をまとめ、提言・実施させていく取り組みを行わなければならない。
1965年に同和対策審議会答申が出され、その具体化をもとめ福岡から東京までの全国大行進を実施し、各地での具体化を求める議論と提言によって、ようやく1969年に同和対策事業特別特措法ができた。
今回も同じように、このままでは絵に書いた餅。たくさんの限界と矛盾、付帯決議にあるようにある意味、解放運動や同和教育を封じ込める側面もあるのが事実。
だからこそ、この法律にうたわれている、
①「部落差別を解消するための教育・啓発」
②「相談窓口の設置・充実」
③「実態調査の実施」
これらを、具体的にどう進めていくのかが問われている。国もまだ、具体的な方針は描けていない。
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部落差別の解消の推進に関する法律(2016.12.9成立)
(目的)
第1条 この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であることに鑑み、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実等について定めることにより、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的する。
(基本理念)
第2条 部落差別の解消に関する施策は、全ての国民が等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、部落差別を解消する必要性に対する国民一人一人の理解を深めるよう努めることにより、部落差別のない社会を実現することを旨として、行われなければならない。
(国及び地方公共団体の責務)
第3条 国は、前条の基本理念にのっとり、部落差別の解消に関する施策を講ずるとともに、地方公共団体が講ずる部落差別の解消に関する施策を推進するために必要な情報の提供、指導及び助言を行う責務を有する。
2 地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、部落差別の解消に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする。
(相談体制の充実)
第4条 国は、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るよう努めるものとする。
(教育及び啓発)
第5条 国は、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うものとする。
2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うよう努めるものとする。
(部落差別の実態に係る調査)
第6条 国は、部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係る調査を行うものとする。
付 則
この法律は、公布の日から施行する。
つばめ次郎 ブログデビュー
はじめまして、つばめ次郎です。
初投稿になります。
私は同和地区(被差別部落、以下「部落」)出身の30代です。
当事者の視点からみた、差別問題について、いろいろ発信していきたいと思っています。
ネット上では部落問題に対する偏見や差別的情報が多くて、悲しい。
このブログでは、マイノリティの視点から、部落問題や差別の現実の「今、ここ」を考えていきたいです。