部落差別は、今 ~TUBAME-JIROのブログ~

当事者の声、マイノリティの視点、差別の現実を踏まえた情報発信をしています。

ネットで拡散・助長されれる偏見と部落差別~部落差別は、いま①~

◆ネットで拡散・助長される偏見と部落差別
今回の部落差別解消推進法が制定された背景のひとつに、ネット上に部落差別の深刻化があります。

今、ネット上で「部落差別」や「同和問題」などのキーワードで検索すると、差別的情報が圧倒的です。行政や研究所などのサイトは、トップ画面に来ません。部落問題についての正しい認識がない人ほど、差別的情報でも検索上位にあるので「正しい」と判断し、偏見が爆発的に助長されている現実があります。

★ベストアンサー7割の差別的回答

(公財)反差別・人権研究所みえが、3年前に「ヤフー知恵袋」の質問サイトを分析しました。「同和」と検索すると1万件近くの質問があり、上位1000件を分析しました。

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その結果、

3分の1が「部落差別って何?」などの
知識を問う質問313件(31%)、

3分の1が「部落の人は怖い」などの
偏見に基づく差別的な質問333件(33%)、

残り3分の1が、
身元調査70件、結婚差別57件、土地差別25件などでした。

なんと、これらの質問・相談に対する
ベストアンサーの約7割が、差別的回答でした。

また、「どこが部落か?」「結婚相手は部落出身か?」などの質問には、鳥取ループらの「部落地名総鑑」が紹介され、結婚相手の身元調査などに利用されています。

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学校での同和教育の後退などもあり、若い世代で部落問題について「無知」「無理解」な人たちが増え、ネット上の差別情報を鵜呑みにして、それらの情報を気軽に投稿・拡散し、偏見を助長している現実があります。

匿名性の中で、ネット上での差別と偏見の拡散・攻撃化がどんどんエスカレートし、差別と人権侵害のハードルを下げていきます。そして、ついには、ネット空間からリアル社会を侵食しはじめました。

 

奈良県・水平社博物館前でのヘイトスピーチ(2011年)
2011年、奈良県御所市の水平社博物館前での差別街宣では、在特会元副会長らが、白昼堂々と同和地区の中で「穢れた賤しい連中。出てこいエッタども!」などと、1時間にわたり、ヘイトスピーチを繰り返し、その動画をユーチューブで公開。

その動画はアクセスが集中し、すぐに検索上位に。

学校で子どもたちが「全国水平社」「水平社博物館」などをネット検索すると、これらの動画がトップにあり、動画を見てショックを受けているという、二次被害も学校現場から報告されています。

その後、水平社博物館が名誉棄損の裁判を起こし、慰謝料150万円の判決が下された。

 

*1

*1:判決では、「被告は、原告が開設する水平社博物館前の道路上において、ハンドマイクを使用して、「穢多」及び「非人」などの文言を含む演説をし、上記演説の状況を自己の動画サイトに投稿し、広く市民が視聴できる状態においている。

そして、上記文言が不当な差別用語であることは公知の事実であり、原告の設立目的及び活動状況、被告の言動の時期及び場所等に鑑みれば、被告の上記言動が原告に対する名誉毀損に当たると認めるのが相当である」とし、

原告に生じた損害の額としては、

「被告の不法行為となる言動はその内容が原告の設立目的及び活動状況等を否定するものであり、しかも、その時期、場所及び方法等が原告に対する名誉毀損の程度を著しくしていることなどの事情に鑑みれば、被告の不法行為によって原告に生じた有形、無形の損害は相当大きなものであるといわざるを得ない」とし慰謝料150万円とした。