部落差別は、今 ~TUBAME-JIROのブログ~

当事者の声、マイノリティの視点、差別の現実を踏まえた情報発信をしています。

「私たちの部落問題」~上智大学で公開講座~

私たちの部落問題のイベントが6月上智大学で開催されます。
東京近郊の方はぜひ!「部落問題の今」について学べます。

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◆ Lecture「初めての部落問題」
             齋藤直子(大阪市立大学特任准教授)
                「ネットと部落差別」
               川口泰司(山口人権啓発センター)

 ◆Talk Event 「私と部落と反差別」
     【ゲスト】  三木幸美(とよなか国際交流協会)
           
上川多実(BURAKU HERITAGE)
             C  (BURAKU HERITAGE)
            李 信恵(ライター)
            ゆーすけ(C.R.A.C)
    【コメンテーター】香山リカ(精神科医)

 【コーディネーター】内田龍史(尚絅学院大学准教授) 

 
「部落差別解消法」施行~ネットと差別扇動

 2016年12月、「部落差別解消法」が施行されました。
背景には、ネット上での部落差別の深刻化があります。
ネット上では全国の被差別部落(五千ヶ所以上)と部落出身者(1万人以上)が「暴かれ」「晒され」ています。 

さらに、ネット上では部落への差別情報が多く、偏見やデマが大量に拡散・蓄積され続けています。差別に関する正しい知識がないため、偏見やデマ情報を鵜呑みにし、無自覚に差別をしている事例を多く見ます。

第1部では、「部落問題って何?」「部落差別は、いま、どうなっているの?」について学びます。

 

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同和地区の所在地情報のネット掲載はアウト!~プロバイダー業界団体が禁止規定に追加!

www.telesa.or.jp

プロバイダ関係の4大業界団体が、ヘイトスピーチと同和地区の所在地情報の差別的掲載を禁止しました!

今後、この「契約約款モデル」を各サービス会社に実際に導入させる取り組みが必要となります。

課題としては海外のプロバイダは適用されません。でも、まずは一歩前進です。

ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消法」は理念法だけど、やはり法律があることは大きいです。

この間の経過

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もう一つの教科書無償闘争~絵本『おたまさんのおかいさん』(長谷川義史)より~

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大阪・日之出の教科書無償化闘争

教科書無償闘争と言えば、高知・長浜の闘いが国を動かす決定的な闘いとなった。しかし、実は、その前段として京都・大阪の闘いがあったことは、あまり知られてない。

当時、20代だった部落の青年たちが差別と貧困により、教科書すら買えず、給食代を持って行けない部落の子どもたちが、教員から「給食代を忘れた子」とプラカードを首から下げられ、運動場を走らされていた。

そして、子どもたち自身も教育闘争に立ち上がり、やがては教科書無償化を勝ち取る。

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知ってた?小中学校の教科書が無償(タダ)になった理由!

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今日は、全国の小中学校で入学式・始業式。
新学期になると、いつも教科書が無償(タダ)で配られる。

すべての小中学校の教科書の裏に、かかれている言葉がある。

「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう」

これ、知っていましたか?

高校生になると、教科書は自分で購入しなければいけない。

教材等も入れると2~3万円くらいする。

なぜ、小中学校の教科書がタダ(無償)なのか、多くの人が知らない。

 

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増えている「同和地区」問い合わせ

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(1)増えている行政への「問い合わせ」

都府県や市区町村役場、隣保館などへの同和地区の問い合わせは、年々増えています。

1995年~2015年まで、過去20年間で確認出来ただけでも207件(『あいつぐ差別事件』『解放新聞』等で確認)の差別問い合わせがありました。

1995年~2005年は計46件ですが、2005年~2015年では計160件となっています。この10年間で差別問合せ事件は3倍以上に増えています。

問い合わせ先の多くは、都府県や市区町村役場・教育委員会などの行政です。その他に隣保館、人権啓発センター、解放同盟都府県連、小学校などもあります。

世代としては20代~80代までの各年齢層であり、不動産会社・マンション開発業者・住宅会社などの社員も目立ちます。

(2)直接窓口にくるケースも2割ある

行政等への同和地区問い合わせの8割が電話です。その多くが匿名または自称(〇〇市在住、偽名)で問い合わせをおこなっています。

なかには、直接、行政等の窓口まで来て、堂々と「同和地区はどこか」と問い合わせるケースも2割あります。

結婚相手の身元調査では、親子(母と娘)が役場を訪ね、「結婚する相手が同和地区に在住しているのか知りたくて調査したい。結婚相手の戸籍を請求できるか」(大阪2006)という事件も起きています。

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身元調査(戸籍等の不正取得)と登録型「本人通知」制度

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行政書士司法書士などによる戸籍不正取得事件

弁護士や司法書士行政書士などの8士業の人は、「職務上請求書」を使用するれば、他人の戸籍や住民票を自由に取ることが出来ます。

この間、探偵社や調査会社などが行政書士などに依頼し、他人の戸籍等の個人情報を不正取得する事件が全国で発覚しました。

 

 2011年に発覚した一連のプライム事件。

東京の司法書士行政書士、横浜・群馬の探偵社などにより、全国の市町村から3万件以上の戸籍・住民票が不正取得されていました。

不正取得された個人情報が、結婚の身元調査やストーカーやDVなどの犯罪に利用されていました。

プライム事件の逮捕者は33名。全員有罪判決。探偵、司法書士行政書士等のほかに行政や警察、docomo、NTT、SoftBankの店員など。戸籍や住民票以外に、納税情報や所得情報、携帯番号、車両情報、信用情報(借金)など、あらゆる個人情報が、売買されていました。

 

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鳥取ループの「保全異議申立」は棄却!~出版・ネット掲載はダメ!~

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横浜地裁は3月16日、鳥取ループ・示現舎が「仮処分決定」の取消しを求めた「保全異議申立」を棄却しました!

裁判所があらためて『全国部落調査・復刻版』の「出版禁止」と「サイト掲載禁止」の判断を下しました。

 

【今回の判決のポイント】

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奈良・水平社博物館前での差別街宣~部落差別は、いま⑨~

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◆水平社博物館前での差別街宣の動画

 ネット上の差別情報を内面化し、自分たちの「正義」を叫び、路上でマイノリティに対するヘイトスピーチを行い、その動画をYouTubeにアップする。

ヘイトスピーチは、在日朝鮮人に対してだけでなく、被差別部落に対しても行われている。

2011年1月、奈良県御所市の水平社博物館前で「在日特権を許さない市民の会」(在特会)元副会長Kらが、同館で開催中の企画展「コリアと日本『韓国併合から100年』について抗議するヘイト街宣を行った。

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「部落差別解消法」が成立!その意義と課題  ~奥田均さん(近畿大学)の講演より~

先日、大阪で「部落差別解消法」公開研究会があり、参加した。
近畿大学の奥田均さんから「部落差別解消法」の意義と課題についての講演があった。
以下は、講演概要の一部。

 

1、「部落差別解消法」制定の背景

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結婚差別の現実 ~部落差別は、いま⑧~

内田龍史さんの講演録「データーで見る部落問題」を読んだ。
結婚差別の具体的な事例2件を読み、胸が締めつけられた。
一人は、私も知っている青年だった。

涙を流し、その事を語ってくれた、彼の顔を思い出した。

彼は結婚差別を受け、ボロボロになり、自死を考えていた。でも、その時に、解放運動に取り組む仲間が支えてくれた。

同和教育に取り組む先生たちや、多くの人との出会いの中で、部落と出会い直すなかで、今は、解放運動をがんばっている。

結婚差別を受けたとき。当事者自身が、部落問題について偏見情報を内面化していた場合、最悪のケースが起きる。そして、誰にも相談出来ない。Bさんも、親には結婚差別を受けているとは言えずに、一人で抱え込んでいた。

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