部落差別は、今 ~TUBAME-JIROのブログ~

当事者の声、マイノリティの視点、差別の現実を踏まえた情報発信をしています。

八鹿高校事件って?「『解同』=『糾弾』=『暴力リンチ集団』」のデマと真相~部落問題の基礎知識②~

 ネット上では「糾弾=暴力リンチ=八鹿高校事件」の図式

部落問題をめぐる議論で必ず出てくる「糾弾」。そして、それを否定的に取り上げる象徴的な事件として、この「八鹿高校差別事件」がある。

先日の部落差別解消法案の参議院法務委員会の質疑でも、共産党議員は40年以上前の八鹿高校差別事件のことを取り上げて、ことさら「解放同盟=糾弾=暴力集団」と連呼し続けた。

八鹿高校差別事件(1974年)の時に生まれてない40~50代以下の若い人たちは、みんなネット検索で、wikiを見て「八鹿高校事件ってなに?」「解放同盟?糾弾って?」と情報収集。

「わぁー、こりゃひどいわぁ。解放同盟怖い。やっぱり部落は怖いねぇ。」「差別されて当然」「反省してないんでしょ?部落差別があるのは、差別もないにに、差別と騒ぐ『解同』があるからや」「私は部落差別はしていない。『解同』差別をしているだけ。そんな部落の人たちと結婚しないは当然。そんな地域に住みたくない」「部落って怖いね。やばいわ」とのコメントが爆発的にネット上に拡散していった。

こうして、寝た子が『気分悪く』起こされている。

 

ネット上では共産党の主張ばかり(デマもある)

八鹿高校差別事件(兵庫県)については、ネット上では被差別当事者の視点で書かれた情報がほとんどない。共産党系の差別的な主張がほとんどで、両論併記にすらなっていない。

ウィキペディアで「八鹿高校事件」を調べると、共産党系の主張で書かれて偏った記事。しかも、その量が多くて、みんな全文は読まない。ただ、そこに写る、ひどい写真ばかりの印象が残る、というのが現状。

その印象・情報がまるで事実のようになり、部落=解放同盟=暴力集団=利権集団=差別されても仕方ない、という論理で、部落問題を知らない若い人たちに悪影響を及ぼしている。

八鹿高校事件を知らない方は、少し長いでずが、ぜひ読んで下さい。ボクの友人が分かりやすく「まとめ」てくれました。

 

【八鹿高校事件について本読んでまとめてみた】

よく部落問題の話になると「解放同盟は暴力集団だ!八鹿高校事件で多くの人が暴力にあったやんか!」的な話を聞く。

共産党側の主張
詳細はwikiをみてください。八鹿高校事件 - Wikipedia

 簡単に言えば、「八鹿高校の教師が解放同盟にリンチされて半殺しにあったよ。だから、解放同盟は暴力集団なんや。」って事件。

 

八鹿高校事件を簡単にいうと
学校で同和教育がまともに行われておらず、学校内でも部落差別により交際を破局されられた生徒もいたり、近くの高校の生徒が部落差別で自殺する中、部落出身の生徒を中心に部落解放研究会を結成しようとする。

しかし、教師は認めず、生徒たちが学校でハンガーストライキをするが教師は無視。それを知った保護者や部落解放同盟が抗議するが教師は無視。そんな教師たちにムカついて殴った人もいた。共産党はそれを理由に「解放同盟 = 暴力集団」というキャンペーンをはった。

つまり、差別側に抗議してるのに共産党は差別者を擁護した事件。

 

当時の八鹿高校の同和教育の状況
一言で言えば、まともに同和教育に取り組んでいなかった。

・生徒が部落民宣言をして同和教育をしっかりやってほしいと先生にいっても何もしようとしなかった。逆に、その生徒と仲の良かった友だちたちが話もしないようになっていった。

同和教育の授業中は、漫画を読んだり、私語をしたり、授業にでない生徒たちも多く、部落出身の生徒は人目を気にしながら授業を受けていた。

・先生のおかしい点を指摘しても、先生は笑ったり、またかという顔をしたり、生徒が話をしているのにもかかわらず、途中でプリントを配ったりして話を聞こうとしない。

 

事件の発端
1974年1月、兵庫県幹部職員の差別文書事件が発覚する。

当時、3年生の女子生徒と幹部の息子が付き合っていて、女子生徒が被差別部落出身だとわかる。

それを理由に息子に交際をやめるように「同和行政を口に唱えても本当にそれをやる人はいない。私が1番よく知っている。」「家族一同が不幸となり社会の片隅で小さくなって生活していかなければならない」などと書いた。

※幹部職員は、同和行政を推進する立場にいた。

この文書が見つかった後に、部落差別によって交際を断ち切られた生野高校(八鹿の隣町)の女子生徒が奈良県で自殺。

こういう事件が連続で起こったから、兵庫県但馬地方の部落民(青年部中心)が糾弾闘争に立ち上がり、この動きが当時の高校生や中学生にも影響を与え、各学校で部落解放研究会(解放研)ができていく。

 

放研結成への動き
学校がまともに同和教育に取り組んでくれないので、生徒達21人が1974年5月に解放研をつくろうとする。しかし、教師たちは認めない。

約半年間、教師たちは生徒たちと話し合おうともしない。1974年11月になり、2人の教師との話し合いが約束されるが、他の教師にもみ消される。

そのため、解放研の生徒は話し合いを求めて職員室の廊下に座り込みを始めた(11月18日)。

これを知った保護者や被差別部落の人たちが教師に抗議するようになる。

しかし、教師たちは態度を硬化させ集団登下校するようになり、11月20日から城崎の旅館に集団宿泊するようになる。


 ※なぜ解放研結成がみとめられなかったのか
すでに部落問題研究会(部落研)というものがつくられていたため。 教師たちは部落研を「民主的に部落問題を考えるサークルとして指導してきた」としている。

しかし、この部落研は1974年11月22日に教師を説得する保護者に校舎の窓から「エッタ帰れ」「四つ帰れ」とシュプレヒコールをしている。

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部落の生徒ら21名がハンスト(1974年11月21日) 
・11月21日
教師達は日本高等学校教職員組合(高教組)が手配した城崎の旅館で集団宿泊していた。

職員室前で生徒たち21人解放研がハンストに入る(何も食べずに泊まり込む)。

※ちなみに
八鹿高校のある兵庫県養父市八鹿町兵庫県の北部(日本海側)のため冬は寒い。

 

・11月22日
教師達約60人は登校してすぐ年休届けを提出。

各教室で生徒に「授業ない」って言って、三列縦隊スクラムを組んで集団下校をする。

前日から職員室前でハンストに入っている生徒たちをまたぐようにして下校(翌日からは連休)。

  

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こうした教師たちの行動を知った解放同盟の地元支部長がかけつけ、教師の列の前んい両手を広げて立ちはだかるが、引きずられることに。

校長、教育委員会、育友会関係者なども教師たちを制止しようとするが、教師たちはとまらない。

最終的に、連絡を受けた解放同盟員に囲まれて、教師たちはスクラムを組んでその場に座り込む(解放同盟員の中心にいたのはハンスト中の生徒の保護者)。

このとき、解放同盟員が教師をごぼう抜きにして47人を学校に連れ戻す(13人は逃げ出す)。

 

保護者が教師への抗議と説得(糾弾)

学校に連れもどした教師に解放同盟側が抗議と説得をする(いわゆる糾弾をした)。解放同盟員は教師に自分の生い立ちもかたって説得するが、話を聞こうとしない教師たちもいた。

そんな教師の態度に我慢できなくなった一部の人が教師を暴行した。でも、解放同盟婦人部がすぐに止めに入った。

このことを当時の赤旗は「血ぬられた高校体育館」「水をかけられてずぶぬれになった男女の教師をむりやり裸に」「バスケットボールのボードの支柱にぶら下がったゴムチューブ、ここで逆さづりの拷問?」って報道したが、どれも事実ではなかった。つまりデマを報道し、デマに対する訂正記事もいまだに出していない

また、このとき共産党赤旗の記者を八鹿高校に常駐させたり、あらかじめ病院の手配していた。つまり、トラブルが起こることを想定して、生徒と保護者をふりきって、生徒や保護者の前を隊列を組んで下校するという挑発をおこなってた。

 

事件後
共産党は八鹿高校事件をつかい「解放同盟は暴力集団」という大キャンペーンをはっていく。また、この事件は部落地名総鑑を販売するためにも利用されたらしい。

 

思ったこと
たしかに殴ったのは悪いしそのことが裁判で裁かれるのは仕方ないけど、そもそも教師側が差別してきたのに対し抗議してるのに、共産党側は教師側の肩を思って、挙げ句の果てには抗議側を暴力集団っていうレッテルを貼るのおかしいやろと思った。

よく、八鹿高校事件だして「解放同盟 = 暴力集団」っていうけど、それ言う人たち差別される当事者のことは何も考えてないんやなと思った。

※参考文献
 『同和利権の真相」の深層ー何がリアルや!』(解放出版社

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https://www.amazon.co.jp/%E3%80%8C%E5%90%8C%E5%92%8C%E5%88%A9%E6%A8%A9%E3%81%AE%E7%9C%9F%E7%9B%B8%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%B7%B1%E5%B1%A4%E2%80%95%E4%BD%95%E3%81%8C%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%84-%E5%AE%AE%E5%B4%8E-%E5%AD%A6/dp/4759210229

 

 

「同和地区」って呼称を使ってはいけないの?~部落問題の基礎知識①~

①「旧同和地区」という言い方

「部落差別解消推進法」をめぐる国会審議のなかで、被差別部落のことを「旧同和地区」と呼ぶ議員がいた。ボクはすごく気になった。

「特措法がなくなったのだから、同和地区はない」「実態調査で行政が、誰が同和地区出身かを特定することは差別になる」と共産党議員はいっていた。

行政が部落差別を解消するための同和行政を推進していく上で、部落差別を受ける「ひと」と「地域」を抜きには語れない。

部落差別を受けたという当事者が、行政に相談に来たとして、「同和地区出身者というのはいません」「だから、あなたが受けた差別は、差別であはありません」とでも言うのだろうか。

仮にそんなことを言っても、部落差別を受けた被害者に対して、なんの意味もない。現場では、そんな机上の空論を議論なんかしていない。

部落差別解消法が施行された。当事者の事をなんと呼ぶのか?すごく基本的で大事なことだと思う。答えは簡単。

部落差別を受る地域を「被差別部落」「同和地区」と呼べば良い。

そこで生まれた人を「部落出身者」「同和地区出身者」、部落に住んでいなくても親や、その地域にルーツがある人を「部落関係者」「同和地区関係者」と呼べばいいだけ。

もう一度、同和地区の呼称問題について、基本的な事を確認しておきたい。

 

②同和地区という呼称

「同和地区」という呼称は、部落差別を受けている地域(被差別部落)を指す行政用語として、1969年「特別措置法」以前から使用されきた。

1965年の同和対策審議会答申では、「この『未解放部落』または『同和関係地区』(以下単に『同和地区』という。)」とも記されている。

 

旧同和地区=「同和地区は存在しない」

2002年3月末の「地対在特法」失効をもって、「同和地区という呼称を使用してはいけない」というのは、おかしな話。

さらに「旧同和地区」というのは「昔、同和地区であった所」という意味。つまり、「昔は部落差別を受けていた地域」=「部落差別は今はもう存在しない」ということを意味する。

今回の部落差別解消法には「現在もなお部落差別は現存する」(第1条)としており、「昔、差別を受けていた地域」でなく「現在も差別を受けている地域」だから、「旧」でなく従来通り同和地区と呼べばいい。

 

同和地区の呼称と特別措置法

2002年3月に失効した「地対財特法」には、「同和地区」も「同和」という言葉すらない。一連の特別措置法において「同和」という文言が条文に用いられたのは1969~1982年「同和対策事業特別措置法」だけ。

33年間の特別措置法において「同和」の条文が存在したのは、1982年までの13年間だけ。以来2002年3月までの20年間、「特別措置法」の条文からは「同和」という言葉は姿を消している。法の失効=「同和地区」の文言を使用してはいけないなら、1982年に議論すべき。

 

「同和対策審議会」答申以前から使用していた

「同和地区」という呼称は、1969年の最初の特措法以前から、行政的にごく普通に使ってきた。1965年の同対審答申以前から、部落差別を受けている地域という意味で行政用語として公文書で使用されきた。なぜ、特措法失効=「同和地区」の呼称使用がダメになるのか。それは、「部落問題は解決した」という認識が前提にあるからだ。

 

③同和対策事業における地区指定

1969年の特措法以後、特別対策を実施する地域が「同和地区」(=行政用語としての部落差別を受ける地域が対象)。

「同和地区」に対する事業である以上、行政はこの事業「対象地域」である「同和地区」を限定する必要に迫られた。それが「地区指定」という作業で、地元と協議の上に設定した。

 

「同和対策事業対象地域」

「同和地区」を対象とする同和対策事業を執行するうえで、「同和対策事業対象地域」が指定されてきた。こうした経過の中で「同和地区」という言葉は、「部落差別を受けている地域」という意味とは別に、「同和対策事業の対象地域」という二つの意味が浸透していった。

こうして、「同和地区」と「同和対策事業対象地域」という意味の混同が「特別措置法が終了したら『同和地区』はなくった」との発想に。

法的に正確に言えば、特措法失効=「同和対策事業対象地域」がなくなっただけで「同和地区」(部落差別を受ける地域)は、部落差別があるから存在している。

 

④特別措置法の失効=同和行政の終了ではない。
特措法後の同和行政について議論された国の地域改善対策協議会(地対協)の意見具申(1969年)は、「現行の特別対策の期限をもって一般対策へ移行するという基本姿勢に立つことは、同和問題の早期解決を目指す取組の放棄を意味するものではない。」

「今後の施策ニーズには必要な各般の一般対策によって的確に対応していくとうことであり、国及び地方公共団体は一致協力して、残された課題の解決に向けて積極的に取り組んでいく必要がある」と、一般対策を活用して同和問題の早期解決に取り組むとの方針を示した。

「同和行政」とは、部落差別の解消を目的とする行政のこと。1965年の「同対審」答申に「同和行政は、基本的には国の責任において当然行うべき行政であって、過渡的な特殊行政でもなければ、行政外の行政でもない。部落差別が現存する限りこの行政は積極的に推進されなければならない。」と明記。

★1996年「地対協」意見具申の骨子
1,同和問題は過去の問題ではない。解決に向けて進んでいるものの、依然として我が国における重要な問題。
2,特別対策としての同和対策事業は終了する。
3,特別措置法の終了が同和問題の早期解決をめざす取組の放棄を意味するものではない。

 

【同和地区の実態把握は出来ない?】
部落差別が特定の地域に対する差別として機能している以上、それらの特定の地域を限定することによって、被差別の現実を把握する作業は、部落問題の解決に必要なのは当然。新たに「地区指定」しなくても、「旧同和対策事業対象地域」を対象にすればいいだけ。

「地区指定」したから、その地域の人は部落差別されるようになったの?No!部落出身を隠しても結婚や就職で身元調査で出自を暴き、不動産取引で同和地区を忌避する市民がいるから、「被差別」地区になっている。その差別の実態を把握することが、なぜ差別になるの?

 

まとめ

「旧同和地区」という言い方は、アウトだし、やめて欲しい。

部落差別は「存在する」のだから、従来通り「同和地区」「同和地区出身者」と使えば良い。

 

参考:『同和行政がきちんとわかるQ&A』(奥田均・村井茂,解放出版社、2008年)を、ぜひお勧めします。

https://www.amazon.co.jp/%E5%90%8C%E5%92%8C%E8%A1%8C%E6%94%BF%E3%81%8C%E3%81%8D%E3%81%A1%E3%82%93%E3%81%A8%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%8BQ-%E5%A5%A5%E7%94%B0-%E5%9D%87/dp/4759230238

 

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どうする?人権教育~「差別に抗する教育の創造に向けて」~

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先日、大阪で開催された「全国人権・同和教育研究大会」に参加し、阿久澤麻理子大阪市立大学)さんの講演を聞いた。

テーマは 「差別に抗する教育の創造に向けて~ヘイトに抗し、マイノリティのエンパワメントに向き合うこと~」の講演。

在特会ヘイトスピーチ鳥取ループのことを中心に、人権教育として、どう取り組んでいくのかという視点で問題提起が行われた。


1,「法期限後」をめぐる問題提起

◆若者の部落問題認識

はじめに「法期限後をめぐる問題提起」として、若者の部落問題認識の変化が提起された。近畿圏の大学生を対象として調査結果(2014年度、対象2867人、1・2回生が7割)。

7割の学生が部落問題についての学習経験がある。しかし、

部落出身の友人・知人」が「いない・わからない」87.4%

在日コリアンの友人・知人」が「いない・わらかない」56.5%

 

部落問題は学んで「知ってはいる」けど、「顔の見えるつながり」はない。つまり、多くの若者にとって、部落問題は、リアリティを感じることが出来ないまま、知識として「知っている」という状況。


【現在の部落問題学習の問題】

⇒出会いのない、リアリティのない学び
⇒知識はあっても、抽象的な認識

 

◆マイノリティの「エンパワメント」の視点から

また、部落の子どもたちの立場の自覚の問題も課題になっている。解放子ども会などの活動が激減。自覚していない部落の子ども・青年たちも多い。

だが学校は取り組まないので、社会的立場の自覚は「親次第」になっている。

人権教育の原則は「エンパワメント」。

マイノリティという立場性を持つ当事者の教育をどう構想するのか、学校も地域、運動団体に問われている。

 

2、「ヘイト」-差別扇動が提起すること

京都朝鮮学園に対する襲撃事件(⇒マイノリティがアイデンティティを顕現させれば、攻撃が自分に向くかもしれないという恐怖)、

徳島県教組襲撃事件(⇒当事者のアイデンティを攻撃し、「つながり」を奪う行為)

鳥取ループによる滋賀県への同和地区所在地情報の公開裁判、

④「同和地区wiki」(部落地名総鑑のネット公開)など、差別の現実が語られた。

 

特に【ヘイト行為が提起する問題】として、在特会桜井誠・元会長、鳥取ループ・示現舎の宮部・三品らは、全員30~40代。まさに、ロスジェネ世代。高校・大学等を出ても、就職氷河期。そして、同和教育をフルに受けた世代。

学校で同和教育を受けた世代が「自分たちの方がマイノリティだ」「自分たちの方がひどい状況だ」「やつらは特権を持っている」「自分たちは誰も知らない真実を知っている」と叫ぶ。

同和利権」「在日特権」と叫び、反差別教育の論理を逆手にとって、自論を主張。

それが同じ境遇の人たちなどに支持され、エスカレート。そしてネットの上で起きていることが、リアルでおきている民主主義を侵食している。

 

◆「インターネットとパワー」

ヘイト行為を主導しているのがロスジェネ世代の30~40代。

頑張っても保障されなかった世代。奪われた感覚の世代。

そこに、ネットの強大なパワーを使い、自分たちのことを発信。

いくら、まじめにがんばっても、国は自分たちを守ってくれなかった。

そこに「同和利権」「在日特権」「自分たちの方が差別されている」と叫ぶ。

 

古典的な人権概念が崩れてきている。
 彼らにとって「市民」は「権利の保持者」であり、「国家」は「市民の権利を実現する責務の保持者」という古典的人権モデルは崩壊している。新自由主義の中で「自己責任論」が叫ばれ、「国は自分たちを守ってくれない」ことを痛感してきたからだ。

 

逆に「市民」が「プロバイダー」から「サービス」を購入すれば、「表現の自由」という権利を思う存分に行使できる喜びを手に入れた。無限大ともいえる受け手に向けた情報発信ができる。

大きな組織や大学の研究者、マスコミと対等に自分たちの情報が発信できる。

「サービス」購入によって手にすることが巨大なパワーと自己を承認してくれる人たち。

人権保障をめぐる国家と市民の「社会契約」より、「商契約」の方が優位になってきている。

だからこそ、Twitteryoutubeなども、人権を保障する責務が問われている。

国連・人権教育10年は、第3段階にきている。

メディアと人権教育の段階。そこでは、マスコミに対する人権教育だけでなく、SNSを使って発信する個人も含めて、対象になっている。それは、ネット配信のパワーを持っているから。

 

【部落問題学習や人権教育の課題】

① 当事者との出会い学習

学校教育での部落問題学習で問題点であるリアリティの欠如記号化する「部落」「部落民をどう阻止するのか。

そのために、具体的な「誰か」に出会うことが重要。人権学習では、必ず「当事者」を招へいし、出会わせること。

そうすることで、部落問題が抽象的・記号の問題でなく、

「それは大切な誰かのこと」になる。

 

② 自分を語れることの重要性。
自己開示をして、受けとめてくれる集団つくりの重要性。

 

③ マイノリティのエンパワメント

解放子ども会の廃止、同和教育の後退により、社会的立場の自覚は、親にゆだねられている。どうしていくか。

そんな課題が、提起されました。

 

ヘイトスピーチ解消法」も「部落差別解消法」も、「教育・啓発」が重要な柱の一つ。知識だけでなく、しっかりと「ヘイト」に抗い、マイノリティのエンパワメントに向き合う人権教育が求められている。

増えている同和地区問合せ事件~部落差別は、いま④~

 

部落差別の現実は、どうなっているのか?

日本共産党は、先日の参議院法務委員会で「部落差別解消法」の審議の時に、各地の意識調査の結果に対して有田議員から差別の現状認識を問われたとき、身元調査や結婚忌避をする回答があっても、現実はそんなに発生していない、だから調査結果自体の社会的な評価・信憑性を否定する発言をしました。

本当にそうのなだろうか?個人的な感覚でなく、この間の現実はどうか、考えてみたいです。

 

1、増えている同和地区の「問い合わせ」

①増えている行政への「問い合わせ」

都府県や市区町村役場、隣保館などへの同和地区の問い合わせは、年々増えています。

1995年~2015年まで、過去20年間で確認出来ただけでも207件(『あいつぐ差別事件』『解放新聞』等で確認)の差別問い合わせがありました。

1995年~2005年は計46件ですが、

2005年~2015年では計160件となっています。

この10年間で差別問合せ事件は3倍以上に増えています。

問い合わせ先の多くは、都府県や市区町村役場・教育委員会などの行政です。その他に隣保館、人権啓発センター、解放同盟都府県連、小学校などもあります。

世代としては20代~80代までの各年齢層であり、不動産会社・マンション開発業者・住宅会社などの社員も目立ちます。

 

②直接窓口にくるケースも2割ある

行政等への同和地区問い合わせの8割が電話です。

その多くが匿名または自称(〇〇市在住、偽名)で問い合わせをおこなっています。

なかには、直接、行政等の窓口まで来て、堂々と「同和地区はどこか」と問い合わせるケースもあります。

結婚相手の身元調査では、親子(母と娘)が役場を訪ね、

「結婚する相手が同和地区に在住しているのか知りたくて調査したい。結婚相手の戸籍を請求できるか」(大阪2006)という事件も起きています。

また、市役所に20代の女性が訪問し、「〇〇(名前)は、市内の部落に多い名字か」「調べる人が調べたら、部落の人かどうか特定できるか」(香川2011)など、結婚した相手が同和地区出身かどうか調べにきたケースもあります。

その他、直接窓口にくるケースで多いのが、不動産会社などの土地差別調査などです。

不動産会社の社員が市役所を訪問し、住宅地図を広げ、

「部落を地図上で示して欲しい」「表面上は示さないが、競売の情報として必要」(福岡2005)

「この地域に歴史的に部落が関係しているか、あるかないか教えて欲しい」(東京1995)

など、堂々と問い合わせている事件もあります。

また、建設業者が市役所に来て、

「営業所をS市に設立したい。市内に同和地区はあるか」(兵庫2010)との問い合わせ事件もあります。

 

(3)問い合わせ内容
過去20年間の問い合わせの内容(目的)の上位は下記の順になります。

1位,「同和地区の所在地情報」76件(37%)、
2位,「住宅・土地購入」56件(27%)、
3位,「結婚(交際)相手の身元調査」38件(18%)、
4位,「引越・転居」31件(15%)、
5位,「その他」(自分のルーツ等)6件(3%)です。

 

◆1位,同和地区の所在地情報
問い合わせで一番多いのは、「〇〇市の同和地区はどこか」「〇〇(地名)は同和地区かどうか教えて欲しい」など『同和地区の所在地』に関する問い合わせです。

これらは結婚や就職における身元調査、不動産取引・転居における土地差別調査など、どのようなケースでも利用される内容です。

【具体例】
①「自分の住んでいる地域に同和地区があるかどうか知りたい」「どこに聞いたら教えてもらえるのか」「自分は解放同盟とは関係ない」(福岡2015)

②「部落地区がわかる地図があるのか。同和地区の分かる地図か、それが分かるものはないか」(京都2013年)

③「〇〇市内に3つの部落があると聞いた。どこにあるのか教えてもらえないか」「どこで聞いたら分かるのか教えて欲しい」(香川2012)

④「〇〇町の△△というところは同和地区か」(滋賀2012)

⑤「自分が住んでいるところが同和地区かどうか知りたい」(奈良2009)

 

◆2位,不動産購入や引越先の物件

次に多いのが、『家や土地を購入』『引越・転居』の際に、その土地・物件が「同和地区かどうか」という問い合わせです。不動産取引において同和地区を忌避する市民の差別意識が具現化されたものです。

また、その市民の差別的ニーズに同調し、営業活動を行う不動産業者からの問い合わせも多いです。

 

【具体例】
①「この物件は同和地区の物件ですか」不動産業者(福岡2014)

②「〇〇市に転居を検討しているが、市内に同和地区はあるのか」(京都2013)

③「〇〇市内でマンションを探しているので同和地区を知りたい」(和歌山2012)

④「今度、娘が土地を買おうと思っているが、〇〇市に同和地区があったかどうか知りたい。△△川沿いにあったと聞いたことがあ る」(埼玉2011)

⑤「〇〇区内で部落だったところが、ここでわかるか」不動産業者、(東京2011)

 

◆3位,結婚(交際)相手の身元調査
次に、結婚相手の身元調査に関する問い合わせです。多くは親が子どもの結婚(交際)相手が、同和地区出身かどうかを確かめるために、身元調査をおこなっています。

 

【具体例】
①市役所に来庁、「息子の結婚相手の住所が、同和地区でないのか」(福岡2015)

②「今度、娘が結婚する相手が同和地区かどうか教えて欲しい」(高知2013)

③「いま付き合っている人がいる。どこが同和地区か教えてくれ」(和歌山2013)

④「結婚のことで、〇〇市△△番地は同和地区か」(長野2013)

⑤「〇〇市の△△が部落どうか教えて欲しい。娘の交際相手が・・」(兵庫2013)

⑥「結婚のことで伺いたい。〇〇に同和地区はあるのか?」(香川2012)

 

2、巧妙になっている問い合せ

行政などにストレートに同和地区の所在地などを聞いても、教えてくれないので、巧妙な手口で問合せをしてくるケースもあります。 

 

 (1)「解放同盟があるか?」

解放同盟の支部があるかどうかや、支部長の自宅を知りたいと同和地区の所在地を聞きだそうとするケースもあります。

 

【具体例】

①「若い頃、同和地区の団体の支部長に大変お世話になった。どうしても会ってお礼を言いたいので支部長の自宅を教えてくれ」と言う。団体の名前や支部長の名前は言わず、支部長の自宅の所在地を聞こうとする(埼玉2009)。

②解放同盟奈良県連の事務所に電話で、「〇〇(地名)には、部落解放同盟の支部があるんですか」「〇〇と□□(地名)と、どちらが活動しやすいですか?支部はありますか?」「部落があるか、ないかで答えてくれたらいい」(奈良2009)。

 

(2)「自分も部落出身」「自分のルーツが知りたい」

自分や家族が「部落出身かどうかを知りたい」という聞き方で問い合わせてくる。

 

【具体例】

 ①「私の生まれたところが部落かどうか調べて欲しい」(和歌山2014)

②「〇〇は同和地区か?」「身内がそうで・・・」(京都2011)

③「奈良の方でいわゆる部落といわれるところがあるのかどうか教えて欲しい。自分の家系はどうであったのか知りたい」(奈良2009)

④「息子の結婚相手が部落出身かどう知りたい」、差別身元調査であることを指摘すると、「自分も部落の人間だ」と偽り、聞きだそうとする。(山口2007)

 

 

(3)隣保館のある場所

隣保館の有無や所在地を尋ね、同和地区の所在地を聞きだそうとするケースもありま 

 

【具体例】

①「〇〇というところに隣保館があるが、同和地区か」(福岡2013)す。

② 「〇〇市にある隣保館の場所を全て教えて欲しい。地域の名前だけでも教えて欲しい」理由を聞くと「結婚のため」と答える。(奈良2011)

③「県内の隣保館の一覧リストが欲しい」(山口2011)

④「市内の隣保館の名前を教えて欲しい。」「〇〇市営住宅は同和地区か?」(和歌山2010)

 

 

(4)公営住宅が「同和地区かどうか」

公営住宅の申込・入居に関して、その住宅が同和地区なのかどうかを聞くケース。

 

【具体例】

①町営住宅に関して、「そこは同和地区なのか」(和歌山2013)

②  「この入居募集団体一覧で同和地区はどこか?」(和歌山2011) 

③「〇〇地区の住宅は同和対策事業の住宅か?」「結婚に関する調査」「どこへ聞けば教えてもらえるか。興信所か?」(長野2010)

④「市営住宅に申込みたいが、その建物がある場所は同和地区内か」(奈良2010)

 

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2002年3月末に同和対策事業に関わる特別措置法が終了した。
行政や学校でも「どこが部落か、誰が部落民か」が分かりにくくなった。

だから差別はなくったの?
No!

逆に同和地区問合せ事件が増えた!
部落があるから差別があるんじゃない。
結婚や引越などで部落を忌避する人たちがいるから、被差別部落になっている。

差別の原因は被差別者の存在にあるんじゃない。

同和地区問合せ事件は、そんな部落差別のあり方を考えさせられる事件。

 

参照:『本人通知制度ガイドブック(改訂版)』(2016年5月、部落解放同盟中央本部)より

どうする?ネット上の人権侵害!

①ネット上の人権侵害に対する現状

現在、ネット上における人権侵害に対して、基本的に行政は、主体的に対応していません。法務省も自らネットパトロールをして削除要請などはしていません。

基本的に法務省が市民から人権侵犯事案として削除要請の依頼があれば、そのサイトを確認し、人権侵犯として認定したら、プロバイダーや管理者等へ削除要請するというスタンスです。

 

部落差別への削除要請は30件だけ

法務省の部落差別の人権侵犯処理事案は
2013年度80件
2014年度107件
2015年度113件

ネット上の部落差別を「人権侵犯」として削除要請したのは
2013年度5件
2014年度10件
2015年度30件

何十万件とある差別投稿や部落地名総鑑があるなかで、たったの数十件しかプロバイダー等に削除要請出来ていません。しかも、すべてが削除される訳ではないです。

ネット上での人権侵害被害者は、プロバイダー等に個人が削除要請をしてもほとんど対応されません。ネット掲示板2ちゃんねる」の削除率は約10%です。

海外サーバーだと削除はほぼ難しい。争うとしても刑事告発はハードルが高く、名誉毀損や侮辱罪といった民事になると、裁判で勝ってもそれ以上に裁判費用がかかるため、経済的にも精神的にもボロボロになることがほとんどです。

 

 ◆ヘイトスピーチ対策法の施行で・・・

 ヘイトスピーチ対策法が6月に施行されて、法務省は、数名のスタッフですが、被害相談対応チームを新設しました。申立てを受けてネット上の中傷や脅しは「人権侵犯」と認定し、サイト運営会社に削除を要請。削除に応じる会社も出はじめています。

www.kanaloco.jp

www.tokyo-np.co.jp

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◆民間企業でも

また、mixi、モバゲー、グリーなどは24時間365日、200~400人の体制でチェックをしています。過去に未成年の子どもや女性などが犯罪に巻き込まれる事件があり、会社(商品)の社会的信用のためにも、必要経費としてお金をかけて対応しています。

 

②先駆的な海外の取り組み

欧州ではネット上の差別にも差別禁止法があり、イギリスでは複数の法律をもって対応しています。

ヘイトスピーチ(表現)があれば罰金や禁固刑、あるいはその両方が科せられます。ドイツでは民衆扇動罪が適応され、禁固刑です。出版物による差別も法律で禁止されています。

フランス政府は130億円かけてネット監視機関を創設し、ヘイトスピーチ等の言葉を自動集約して監視しています。

 

◆違反通報で24時間以内に削除

TwitterGoogleFacebookYouTubeMicrosoftの5社は違反通告があると24時間以内に削除する形になりました。これは欧州委員会の規約に賛同したからです。この5社の日本での対応も、今後、取り組んでいく必要があります。

 

③プロバイダーの契約書で削除規定

今後、注目する取り組みとして、プロバイダーが利用者と契約する際に、差別や人権侵害の通報があれば、プロバイダーの判断で削除することを事前に了解してもらう方法です。

(一社)テレコムサービス協会「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」を作って紹介し推奨しています。

プロバイダーや通販サイトなどインターネット関連の会社の契約に、人権侵害の違反通告があった場合、会社の主体的な判断で削除していくという文言を利用規約に入れて、サービス提供するという方法です。

これらの先駆的な取り組みを、企業や行政等が連携していくことも新しい方法の一つです。

www.telesa.or.jp

 

鳥取ループがついに「部落地名総鑑」を出版!~部落差別は、いま③~

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①「全国部落調査」復刻版出版事件

2016年1月、鳥取ループ・示現舎の宮部らは都内の大学図書館で『全国部落調査』を発見し、現住所を追加した全国の同和地区一覧リストをネット公開しました。

そして2月5日、『全国部落調査復刻版』を4月1日に出版すると告知し、アマゾンで予約受付を開始しました。

多く人たちが、アマゾン本社に抗議し、アマゾン本社は不適切と判断し、3日後には取り扱いを中止しました。

すると彼らは、今度は書店で発売すると公言。今度はすぐさま各書店に話をして、ほとんどの大手の書店は取り扱わない判断となりました。しかし、彼らは「電子図書もある」として、出版する意向は変わりませんでした。

鳥取ループの言動】

2月5日「全国部落調査」復刻版の販売予告
「復刻・全国部落調査を4月1日に販売いたします。旅のお供に、図書館での添削に、役立つことでしょう。アマゾンで「全国部落調査」の予約販売を開始しました。熱烈な予約注文をお願いします。日本の出版しに変革をもたらす本です」

2月10日 アマゾンの販売中止に対する居直り

「多少年月がかかっても、全国部落調査の出版は必ず実現しますよ。たとえ印刷所に圧力をかけようと、最近は中国でも韓国でも印刷を外注できるので無駄です。紙に限らず、電子書籍もアプリもあります。全国部落調査は不滅です」


解放同盟が宮部と面会

同年3月8日、西島藤彦部落解放同盟中央書記長が彼と対話を持ち、発刊中止を要請しましたが、宮部は拒否。そのため解放同盟は3月22日、「出版差し止め」の仮処分の申し立てをしました。そして3月28日、裁判所が仮処分決定を出し、『全国部落調査・復刻版』は出版差し止めとなりました。

3月29日、東京法務局長も彼らの行為を「人権侵犯」として本人に「説示」(啓発)をしましたが、宮部は法的な強制力はないと開き直りました。この問題は国会でも取り上げられ、有田芳生参議院議員法務省を追及しました。

 

【東京法務局長の説示 2016.3/29】

 「(インターネット掲載は)・・・不当な差別的取り扱いをすることを助長し、又は誘発するものと認められ、人権擁護上到底看過することが出来ない。よって、あなたに対して、前記各行為の不当性を強く認識して反省し、直ちに前記各行為を中止した上、今後、同様の行為を行うことのないように説示する」

有田芳生参議の質問に対する法務大臣の答弁 2016.4/5】
岩城法務大臣「委員からご指摘があった通り、不当な差別的取り扱い、これを助長・誘発する目的で、特定の地域を同和地区であるとする情報がインターネット上に掲載さるなどとしていることは、人権擁護上、看過できない問題でありまして、あってはならないことだと、そのように考えています」

 

ヤフオクに出品!51000円で落札!

宮部はその翌日3月29日、出版差し止めの訴訟資料や「全国部落調査」のコピーなどの資料をヤフーオークションに出品しました。

アマゾン同様、多くの人たちがヤフオクに「違反通告」をして取引中止を求めました。部落解放同盟中央本部も弁護士を通してYahoo!本社に抗議をしましたが、Yahoo! 本社は「取り扱い中止」にしませんでした。

結果、150件の入札の末、鳥取ループの出品した「部落地名総鑑」等の資料は51,000千円で落札されました。

41年前の『部落地名総鑑』事件以降、身元調査規制・就職差別撤廃に向けて取り組んできたのに「部落地名総鑑」を規制する法律がない、法の不備も痛感しました。

今回「取扱中止」しなかったYahoo!オークションの対応は許せません。その後、この件が国会で取り上げられると、ヤフオクは取引情報自体を「隠ぺい」するかのように削除しました。

その後も、彼らは『全国部落調査・復刻版』の原稿データーを無料公開し、各自で印刷・製本・販売するように教示・扇動しました。

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また、彼らは、出版物だけでなく「同和地区wiki」というサイトも運営しており、このサイトも、掲載禁止の仮処分になりました。しかし、「ミラーサイト」「コピーサイト」が作られ、現在も全国の同和地区の所在地情報が公開された状況になっています。

このような状況に対して、部落解放同盟は、同盟員1人につき100万円、原告総数248人、合計2億8千万円の損害賠償請求の民事訴訟を起こしました。

 

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②差別性と問題点

明らかなプライバシー侵害!

本人同意なく部落出身者を「暴く」行為は、明確なプライバシー侵害です。部落差別が現存するなかで、「部落地名総鑑」をネット公開・出版することは、結婚や就職における身元調査、土地差別調査などの部落差別を誘発・助長する行為です。


ネットで身元調査を可能に!

彼らが行った最大の問題点は、ネット上で差別身元調査を可能にしたことです。戸籍の公開制限本人通知制度の導入、土地差別宅建業界への取り組みなど、これまでの部落解放運動や同和行政、同和教育運動の成果を破壊し、台無しにしています。

何より、部落差別が現存するなかで、「部落地名総鑑」をネット上に公開することは、部落差別を誘発・助長する行為です。

彼らは、部落解放同盟は誇りを持って部落を名乗っているのだから、それをネットで明らかにするのが差別というのは矛盾していると言います。

また、どこが部落かわかれば、隠す必要がないので差別する人はなくなる、という訳のわからない論理を持ち出しています。

第1回口頭弁論後の記者会見で、宮部は「ネットに公開することが問題であれば、自殺者が1人や2人出ていてもおかしくないのに、誰も出ていないではないか」と平気で言いました。この発言は本当に許せません。

彼らは、今実際に起きている差別事件や実態にはふれず、「部落差別はない。たいしたことない」の一点張り。もしまだ差別があるとすれば、責任は部落解放同盟にあるとして、差別を正当化する論理を主張。同和行政や解放運動を批判してもいいけど、部落差別を正当化していい理由にはなりません。

カミングアウトとアウティングは違う!

当事者のカミングアウトと、他者が「暴く」アウティングは意味がまったく違います。カミングアウトは自身が差別を乗り越えるうえで、相手や状況を判断し主体的にするもので、アウティングは単なる「暴き」です。

同和教育における部落民宣言、立場宣言は、部落の子どもたちが、差別に負けない力をつけ、肯定的なアイデンティティの確立、反差別の仲間づくりを目指しておこなわれてきました。

その前提として、しっかりとした部落問題学習や仲間づくり、地元の当事者との協議・信頼関係の上でおこなってきました。地元や当事者の同意もなく、勝手にアウティングする行為とは、まったく異なります。

また彼らは、過去の出版物にすでに地名が載っていると主張しています。部落史の本や資料、解放新聞などでの地名表記に際しては、基本的に、それぞれの地域の解放運動の状況を考慮し、掲載しています。その前提として、その書籍が「部落問題の解決に資するものかどうか」「どのような文脈や意図」で掲載するかで判断してきました。部落差別が現存するなかで、単に「どこが部落」を特定するだけの書籍は、「部落問題の解決に資する」とは到底、言えないことは当然です。

 

ヘイトクライムをやめろ!

鳥取ループ・示現舎に言いたい。

まじで、ほんとに、もうやめて!

差別と貧困のなか、学校にも行けず、それでも、たくましく生きてきた部落のおばあちゃんたちが、ネット上の差別に対して、ふるえている。

孫たちが差別の危険にされされ、晒ものにされている。
「今すぐになんとかしたいけど、ネットすら使えない自分たちはにどうするこもできない」「たのむから、おねがいだから、彼をとめてほしい」と涙を流して、私は手を握られた。

「おばあちゃん、ごめんね。ボクもほんとくやしいよ。なんとかするから」と、そんなことが何度あったことか。

頼むから、やめてくれ!


④「冷たいレイシズム

鳥取ループ・示現社のMらの行為は、部落問題をあまり知らない人からすると、一見、「ヘイトなの?」とわかりにくい。

彼は決して、ネット上でも、路上でも「部落民を殺せ!」などとは叫ばない。これまで賤称語を使ったり、露骨に「部落民との結婚はやめろ!」「あいつらは穢れている!」などとストレートな差別言動を発したことはない。

その意味では「彼ら行為はヘイトなの?」と思ってしまう。

しかし、「復刻版 全国部落調査」を出版したら、結婚差別で「一人や二人くらい死ぬ人がいるかと思ったら、そんなことない」と平気で言い放つ。

「同和タブーをおちょくる」として、市役所などに部落の所在地情報等の開示請求を繰り返し、「非開示」となると裁判を起こしてきた。

部落民の名字リスト(1万人以上)や、部落解放運動団体の役員や会員名簿(名前・住所・電話番号、生年月日等)の個人情報をネット上に晒してきた。(「解放同盟関係人物一覧」等は、「自分が作成したものではない。誰かがやった」と主張。しかし、その情報を二次利用し、掲載を許可・掲載し続けてきたのは事実)。

 

何度も法務局から「あなたがやっている事は部落差別を助長・誘発するからやめなさい」と言われ、国会でも法務大臣が、彼らのアウティング行為、「部落地名総鑑」の出版、ネット公開が「人権侵犯」であると指摘され続けてきたが、公然と反発し、やめない。

当事者が「やめてくれ」と訴えても、「いやだ」と笑いながら、その部落や部落出身者の個人情報や地域名、写真をアウティングし続ける。

当事者や主催者が拒絶しても、原告がいる講演会に、平気で土足で何度も侵入してくる。

2017年6月25日の上智大学でのABDARCでのイベントでは、主催者が事前に拒否していたのに被告本人Mが会場に侵入し、バレて追い出された。

「追い出されるのは分かっていた。だから、いつもと同じじゃ、おもしろくないから、ジョン・レノンの恰好を真似して、バンダナと黄色いサングラス、そしてマスクで、左翼系を意識して、入った」と冷笑しながら、示現舎のラジオで語っていた。

それを聞いて、私はぞっとした。
当日、彼の侵入により、講演を妨害され、動揺しながら、それでもた話し続けた出演者たち。

恐怖と精神的苦痛を受けて、動揺した当事者や関係者。彼のマイノリティを冒涜した行為を目の当たりにし、イベント中に体調を崩し、トイレで吐いた人もいた。

鳥取ループ・示現社は、まじめに部落解放に取り組む人たち、部落出身者を、あざ笑うかのように、自己の理屈をまき散らし、当事者が嫌がる事を、楽しみながら、繰り返す。

彼はマジョリティ社会に問うている。

「部落問題の情報を、運動団体や行政だけが独占するのは不公平だ。おれが公平にしてやっているんだ」「俺は差別なんてしていない。あくまで、部落に関する情報を公開しただけだ」

「俺が公開した部落の情報を使って差別するのは、それはお前たちの責任だ」「俺は知らない。その事で部落差別がおきても、それは俺の責任じゃない。おまえの責任だ」と、マジョリティ社会に語りかけているように聞こえる。

私は思った。この間、ずっと、もやもやしていた、彼の行為への言葉にならない気持ち。

「冷たいレイシズム

だと。

 

 

ネット公開される「部落」「部落民」~部落差別は、いま②~

 

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ット版「部落地名総鑑」の公開

 現在、ネット上では鳥取ループ・示現舎によって「部落地名総鑑」が公開され、「同和地区WIKI」のコピーサイト、類似サイトが無数に拡散され、電子図書化し販売されています。

1936年に政府の外郭団体である中央融和事業協会が作成した『全国部落調査』をもとに、全国5300の被差別部落の名称、戸数、職業等がネット上に公開。「同和地区特定ガイド」や便利ツールなども紹介しています。

◆部落出身者の名字リスト

 部落出身者の人名リスト(「同和地区と関連する人名一覧」「人物一覧」)もネット上に公開。そこには全国の市町村別に、その地域に多い部落出身者の名字を1万人以上が公開。さらに、解放同盟や同和会などの部落解放運動団体の役員等の名前・住所・電話番号等、1000人以上の個人情報が本人同意なく、公開されています。

◆同和地区マップ

 さらに、「同和地区マップ」としてGoogleマップストリートビューを利用し、全国の同和地区の地図が作成され、マッピングされています。「大阪の同和地区」などは地図上に地区指定の線引が記されています。

◆部落の写真や家・表札、墓、子どもの顔が映っている動画まで

 鳥取ループは、実際に全国の同和地区を回り、改良住宅や個人宅の表札・車のナンバー、商店などを写真や動画で撮影し、示現舎のサイトで「部落探訪」とシリーズ化し、公開し続けています。
また、子どもたちや青年の顔が映っている動画までもアップされ、地元の保護者たちが削除要請しても、拒否し、ネット上で公開し続けています。

 彼らは、「一度公開された情報は、二次利用しても問題ない」と法のグレーゾーンをねらい、NTTの電話帳の情報を二次利用し、身元調査が安易にできるアプリ(サイト)を作りました。

対象者がNTTと契約していれば、検索をかけると住所などの個人がわかります。その住所を「部落地名総鑑」と照合すると、部落出身者かどうか、分かる仕組みを作り上げています。

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鳥取ループ・示現舎とは?

鳥取ループ」とはブログ名で、「示現舎」は出版社名です。宮部龍彦と三品純の2名が中心です。宮部は自身で、鳥取市内の同和地区の近隣の出身で育ったとのこと。三品純は法学部出身のライターで、主に解放同盟批判を展開した記事を書いています。

彼らの行動の根底には、部落解放同盟や同和行政に対する強い反発があります。
「行政・司法の取り扱いは平等でなく、むしろ同和に対してだけ異常な扱いをしている」(7/5 記者会見・配布資料)

「なぜ、同和地区の場所を晒すのか?・・・『同和はタブー』だと思い込んでいる人をおちょくるためです」(「鳥取ループ」HP)

と書いています。

また、「『全国部落調査』がインターネットで拡散され、回収不能になることは、被告宮部が望むところである。これが『ふと湧いてでた“いたずら心”』などと思うのは、あまりにも甘い考えである」(8月3日、東京地裁準備書面)として、確信犯として、同和地区の所在地情報を次々とネット上に公開してきました。 

 

③10年前から部落暴き、どんどんエスカレート!

鳥取ループは10年以上前から、同和地区の所在地情報を行政に開示請求を求、非開示となると裁判を起こし、同時にネット公開を繰り返してきました。

鳥取市内の同和地区情報の開示請求をおこない、行政がそれを拒むと訴訟を起こす。「鳥取県の同和地区」というサイトを立ち上げて、GoogleMapsに同和地区をマッピングしていきました。

2008年に滋賀県に対しても同和地区を特定しうる施設情報の開示請求を行い、滋賀県が「情報公開条例」にもとづき一部を非公開とする決定をすると、それを不服として大津地裁に提訴。

2015年の最高裁判決で「地区の居住者や出身者等に対する差別意識を増幅して種々の社会的な場面や事柄における差別行為を助長する恐れがあると」と、滋賀県が勝訴しています。

◆解放同盟員の名簿をネット公開、個人宅までマッピング

滋賀県との裁判中に、部落解放同盟滋賀県連が何者かによってハッキングされ、同盟員名簿が流出するという事件が起きました。

流出した同盟員名簿は、住所・氏名・電話・生年月日などの個人情報です。鳥取ループは流出したデータを入手し、800人以上の同盟員の個人情報をネットに公開しました。

さらに同盟員の自宅を一軒づつGoogleMapsにマッピングし、地図上でピンポイントでわかるようマップを作成・ネット公開。

宮部は「自分の犯行ではない」と警察に対しても主張。しかし、後日、ハッキングした本人と面会したことを明らかにしています。

鳥取⇒滋賀⇒大阪⇒全国の同和地区をネット公開

2010年には、大阪の同和地区一覧をネットに公開し、法務局から削除要請を受けたことに、不服として訴訟。その後も「滋賀の部落」をネット上に公開。

以降、順次、全国各地の部落や隣保館マップ等を公開していきます。同時に『同和と在日』という雑誌を発刊していきます。

2011年、示現舎という出版社を立ち上げ、『部落ってどこ? 部落民って誰』を出版。

2012年頃から、同和地区一覧に対する削除要請が多くなり、今度は国内法適応外の海外サーバーでサイトを開設します。

また「全国部落解放協議会」というエセ同和団体を立ち上げ、自分たちは、部落差別をなくす運動団体だと名乗り、「自覚のないものは部落地名総鑑を見て自覚し、立ち上がれ」と、全国の同和地区一覧リストをネット公開しました。

このように、全国の部落と部落出身者を暴き、ネット上に晒ものにしてきた。

 

ネットで拡散・助長されれる偏見と部落差別~部落差別は、いま①~

◆ネットで拡散・助長される偏見と部落差別
今回の部落差別解消推進法が制定された背景のひとつに、ネット上に部落差別の深刻化があります。

今、ネット上で「部落差別」や「同和問題」などのキーワードで検索すると、差別的情報が圧倒的です。行政や研究所などのサイトは、トップ画面に来ません。部落問題についての正しい認識がない人ほど、差別的情報でも検索上位にあるので「正しい」と判断し、偏見が爆発的に助長されている現実があります。

★ベストアンサー7割の差別的回答

(公財)反差別・人権研究所みえが、3年前に「ヤフー知恵袋」の質問サイトを分析しました。「同和」と検索すると1万件近くの質問があり、上位1000件を分析しました。

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その結果、

3分の1が「部落差別って何?」などの
知識を問う質問313件(31%)、

3分の1が「部落の人は怖い」などの
偏見に基づく差別的な質問333件(33%)、

残り3分の1が、
身元調査70件、結婚差別57件、土地差別25件などでした。

なんと、これらの質問・相談に対する
ベストアンサーの約7割が、差別的回答でした。

また、「どこが部落か?」「結婚相手は部落出身か?」などの質問には、鳥取ループらの「部落地名総鑑」が紹介され、結婚相手の身元調査などに利用されています。

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学校での同和教育の後退などもあり、若い世代で部落問題について「無知」「無理解」な人たちが増え、ネット上の差別情報を鵜呑みにして、それらの情報を気軽に投稿・拡散し、偏見を助長している現実があります。

匿名性の中で、ネット上での差別と偏見の拡散・攻撃化がどんどんエスカレートし、差別と人権侵害のハードルを下げていきます。そして、ついには、ネット空間からリアル社会を侵食しはじめました。

 

奈良県・水平社博物館前でのヘイトスピーチ(2011年)
2011年、奈良県御所市の水平社博物館前での差別街宣では、在特会元副会長らが、白昼堂々と同和地区の中で「穢れた賤しい連中。出てこいエッタども!」などと、1時間にわたり、ヘイトスピーチを繰り返し、その動画をユーチューブで公開。

その動画はアクセスが集中し、すぐに検索上位に。

学校で子どもたちが「全国水平社」「水平社博物館」などをネット検索すると、これらの動画がトップにあり、動画を見てショックを受けているという、二次被害も学校現場から報告されています。

その後、水平社博物館が名誉棄損の裁判を起こし、慰謝料150万円の判決が下された。

 

*1

*1:判決では、「被告は、原告が開設する水平社博物館前の道路上において、ハンドマイクを使用して、「穢多」及び「非人」などの文言を含む演説をし、上記演説の状況を自己の動画サイトに投稿し、広く市民が視聴できる状態においている。

そして、上記文言が不当な差別用語であることは公知の事実であり、原告の設立目的及び活動状況、被告の言動の時期及び場所等に鑑みれば、被告の上記言動が原告に対する名誉毀損に当たると認めるのが相当である」とし、

原告に生じた損害の額としては、

「被告の不法行為となる言動はその内容が原告の設立目的及び活動状況等を否定するものであり、しかも、その時期、場所及び方法等が原告に対する名誉毀損の程度を著しくしていることなどの事情に鑑みれば、被告の不法行為によって原告に生じた有形、無形の損害は相当大きなものであるといわざるを得ない」とし慰謝料150万円とした。

「部落差別解消推進法」が成立!(12月9日)

12月9日、参議院本会議で「部落差別解消法」可決され、成立した。マイノリティにとっては、宣伝法であっても、法律があることが、どれだけ勇気づけられるか。

「差別はなんかない」と「ある」のに「ない」ことにされ、「差別されるのはお前たちのせいだ」と言われ正当化されきたから。

そんななかで、明確に「部落差別は存在する」とし、解消に向けて取り組むと国が示したことは、ほんと大きい意味がある。

 今回の法案は付帯決議も含めて、どちらにも使えるように、ある意味曖昧なところがたくさんある。だからこそ、これから、私たちが「この法律をどう具体化させるのか」を真剣に考えて、提案していかなければいけない。うかれている場合ではないといけない。

 今回の法律の意義として、

①「部落差別は存在する」と、国が明確に認めたこと。

差別が「ある」「ない」の議論に決着をつけた。今後は、共産党の「部落問題は解決した」という主張は明らかに法律に反する主張であることが明確になった。

だから、行政や学校では部落差別は「ある」という前提にたち、その解消に向けて取り組むことが責務とされた。

 

 ②「寝た子を起こすな」論を、明確に否定したこと。

「学校などで教えなければ、差別はなくなる」「ことさら部落問題を取り上げた授業や研修をするから差別が残る」といった「寝た子を起こすな」論は、誤りであると、それでは「部落差別はなくらない」と国会答弁で何度も明確に否定した。

ネット社会で無知が新たな差別を生む。だから、正しく部落問題について学ぶ必要があることを示した。

この二点が、大変重要な点。共産党の主張は、もう明確に否定されたということ。恒久法であるため、これらの考えは、今後、完全に間違いであることが確定した。

そして、今後の私たちの課題として、この法律を具体化するための議論と方針をまとめ、提言・実施させていく取り組みを行わなければならない。

1965年に同和対策審議会答申が出され、その具体化をもとめ福岡から東京までの全国大行進を実施し、各地での具体化を求める議論と提言によって、ようやく1969年に同和対策事業特別特措法ができた。

今回も同じように、このままでは絵に書いた餅。たくさんの限界と矛盾、付帯決議にあるようにある意味、解放運動や同和教育を封じ込める側面もあるのが事実。

だからこそ、この法律にうたわれている、

①「部落差別を解消するための教育・啓発」
②「相談窓口の設置・充実」
③「実態調査の実施」

これらを、具体的にどう進めていくのかが問われている。国もまだ、具体的な方針は描けていない。

 

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  部落差別の解消の推進に関する法律(2016.12.9成立)

(目的)

第1条 この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ、全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念にのっとり、部落差別は許されないものであるとの認識の下にこれを解消することが重要な課題であることに鑑み、部落差別の解消に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、相談体制の充実等について定めることにより、部落差別の解消を推進し、もって部落差別のない社会を実現することを目的する。

 

(基本理念)

第2条 部落差別の解消に関する施策は、全ての国民が等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、部落差別を解消する必要性に対する国民一人一人の理解を深めるよう努めることにより、部落差別のない社会を実現することを旨として、行われなければならない。

 

(国及び地方公共団体の責務)

第3条 国は、前条の基本理念にのっとり、部落差別の解消に関する施策を講ずるとともに、地方公共団体が講ずる部落差別の解消に関する施策を推進するために必要な情報の提供、指導及び助言を行う責務を有する。

2 地方公共団体は、前条の基本理念にのっとり、部落差別の解消に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、国及び他の地方公共団体との連携を図りつつ、その地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるものとする。

 

(相談体制の充実)

第4条 国は、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るものとする。

2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別に関する相談に的確に応ずるための体制の充実を図るよう努めるものとする。

 

(教育及び啓発)

第5条 国は、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うものとする。

2 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地域の実情に応じ、部落差別を解消するため、必要な教育及び啓発を行うよう努めるものとする。

 

 

(部落差別の実態に係る調査)

第6条 国は、部落差別の解消に関する施策の実施に資するため、地方公共団体の協力を得て、部落差別の実態に係る調査を行うものとする。

 

 付 則

この法律は、公布の日から施行する。

 

 

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つばめ次郎 ブログデビュー

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はじめまして、つばめ次郎です。
初投稿になります。

私は同和地区(被差別部落、以下「部落」)出身の30代です。

当事者の視点からみた、差別問題について、いろいろ発信していきたいと思っています。

ネット上では部落問題に対する偏見や差別的情報が多くて、悲しい。

このブログでは、マイノリティの視点から、部落問題や差別の現実の「今、ここ」を考えていきたいです。